医師になるためにはどのような資格や勉強が必要なのでしょうか。
今回は、医師を目指すにあたって必要な資格やその合格率、医師の仕事についても詳しく説明していきます。
将来、医師を目指している方は必見です。
当たり前のことですが、医師になるには、まずは医学部に合格する必要があります。
そして6年間学び、医師国家試験を受けます。
医師国家試験に合格すれば、医師免許を手にすることができます。
今も昔も医学部入試は偏差値が高いです。
しかし、現在はただ単に頭が良い医師は要らない、という考えが根強くなってきました。
一部の大学病院では既にAI(人工知能)が導入されて、AIが診断を行っています。
そのため、AIが下した診断を医師がどのように患者さんに伝えるか、といったコミュニケーション能力が重要視されるようになってきました。
現代の医療は、チーム医療です。
以前は薬局で薬を袋に入れて輪ゴムで留めるだけというイメージだった薬剤師も、今は病棟に出てきました。
患者さんに薬を配ったり、薬の説明をするのは薬剤師です。
栄養士も調理場ではなく病棟にも出て来て、なぜ塩分性制限が必要なのか、などを患者さんに説明するようになりました。
このような医師以外のスタッフの意見をまとめたり、スタッフたちのリーダであるのが医師です。
みんなの話をまとめる能力や、他のスタッフと上手くコミュニケーションを取って報告・連絡・相談ができるかなども大切なスキルです。
そこで、医学部の入試も変わって来ています。
1つのテーマからグループで話し合いをさせて、コミュニケーション能力を見るようになってきたのです。
ある大学の医学部では、おじいさんに言語のみで見本と同じ図形を描かせるという課題を出しました。
しかし、このおじいさんはちょっと偏屈で、なかなか思うようにやってくれません。
思わず大きな声で「ちがいます」と怒鳴るように言ってしまったりイライラしてきたりと、高校生たちは難渋していました。
このように医学部入試が変わって来ているのは、単に頭がいいだけの医者は要らない、という事です。
そのうち難しい病気の診断はAIがやってくれる時代がきます。
治療法までAIが指示してくれます。
しかし、AIは泣いたりはしません。
患者さんが自暴自棄になりそうな時、医師の温かい言葉や表情に励まされて、患者さんは闘病生活を送っています。
時には、患者さんと一緒に「悔しいね」と言いながら泣いてしまう医師もいます。
一緒にうれし涙を流すこともあります。
そういった人にしかできないことが、超高齢化社会を迎える今後の日本の医療には、非常に重要になって来るでしょう。
つまり、コミュニケーション能力や、優しい温かい人間性が重要視されているのです。
ある程度の偏差値があれば、ものすごく頭が良くなくても入学後は勉強合宿などで理解できるまで面倒を見るから、コミュニケーション能力や人間性を重視したい、という医学部が多くなってきています。
勉強一筋ではなく、色々な体験をすることが大切です。
大いに悩んで大いに部活も楽しんで、恋もしてください。
それがコミュニケーション能力や人間性の形成にも繋がっていくでしょう。
晴れて医師免許を取得できても、まだまだ一人前とは言えません。
その後は、2年間は研修医という立場になります。
いろいろな診療科を一通り回って行くのです。
以前は医師免許を取得すれば、すぐにどの診療科を専門にするか決めていました。
しかし、「専門バカを育成してもダメだ。
心臓の事は判っても胃の事は全然分からないのでは困る」という声が多く上がり、今は2年間の間に一通りの診療科を回って、その後に専門を決めます。
専門を決めた後は、レジデントやフェローと呼ばれる立場になります。
この間に内科総合医や外科専門医などの資格を取得する人が多いです。
そしてその後も、日々知識や能力をアップデートしていく必要があるので、一生勉強です。
医学部入試は一人前の医師へのプロローグです。
✔人間性やコミュニケーション能力が重視される
✔いろんな経験をすることが大事
✔医師になってからも、日々勉強
医師が主人公となっているテレビドラマは沢山あるので、医師の仕事と言えば診察や手術や点滴をしたり、検査をしたりといったことが思い浮かぶでしょう。
医者にかかったことがないと言う人は、まずいないと思います。
自分が医師の世話になった時やおじいちゃんやおばあちゃんが入院した時などに、医師が働いている姿を見たことがあるはずです。
実際に、肉親が病気になってその時にお世話になった医師の姿を見て、「自分もああいう医者になりたい」と医学部を受験する人や、肉親に病気で命を失った人がいて非常に悔しい想いをした経験があるから、「自分は助けられる医者になりたい」と医学部を受験する人も少なくありません。
しかし、私たちが思っている医者の仕事内容とは裏腹に、意外と書類作成の仕事も多いのです。
1人の人が入院してきたら、大抵2社くらいの生命保険会社の書類を書くことになります。
また、国の難病に指定されている特定疾患の診断書や、障碍者申請の書類や介護申請の書類もあります。
会社や学校に提出する診断書を依頼されることも多いです。
特定疾患の診断書は、時には6枚や8枚もあります。
10人で80枚なので、かなり嫌になります。
しかし、これを時間が空いた時にやっておかないと、「いったい、いつになったらできるんですか」などと、患者さんや看護師長から叱られる羽目になってしまうのです。
そして、退院時サマリーと言って、患者さんが退院する際には「まとめ」のようなものを作成しています。
他の病院へ転院となった場合は、紹介状も作成しなければなりません。
そのため、土曜日か日曜日は書類を作成する日にしている、という医師も少なくないのです。
書類の仕事がなければ、仕事をしている時間は半分くらいになるでしょう。
そしてまた、近年は患者さんや患者さんのご家族と話をするという事も、非常に大切な仕事になっています。
ある病院では医師の残業や休日出勤をできるだけ減らして、医師の過労死や燃え尽き症候群を予防するために、「患者さんやそのご家族への医師からの説明は、平日の9時から午後5時までとさせていただきます」という文書を渡しています。
しかしそれでも、「どうしても仕事を休めないので、日曜日でないと無理です」という患者さんもいるので、日曜日に説明のために出勤となることもしばしばあるのです。
インフォードコンセントという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、説明と同意という意味です。
一昔前は、医師が治療方針を決めて患者はそれについていく、という感じの医療でした。
ガンや治療の難しい病気の場合は、病名を隠すことも多かったです。
しかし今は、たとえガンや治る見込みの少ない病気であっても、どのような病気なのかをきちんと話して、どのような治療法があるのかを説明して、一緒にどの治療法を選択するかを考える時代になってきました。
治る見込みが少ない時や、患者さんやそのご家族がショックを受けるような内容を話さなければならない時は、顔色や様子を見ながら言葉を選んで話をしなければなりません。
これが一番つらい仕事内容だという医師が多いです。
また、一生注射を打たなければならない病気もあります。
患者さんは、時には闘病意欲を失いかけたり自暴自棄になることも少なくありません。
そんな時も、時間をかけて患者さんの話を聞いたり、話をすることが重要です。
既にAI(人工知能)を導入して、一部の診断を行っている大学病院もあります。
しかし、AIが下した診断を患者さんに伝えるのは、医師です。
これはAIにはできない仕事です。
これらの事から、これからの医師はコミュニケーション能力が、より一層求められてくるでしょう。
✔書類作成も医師の仕事
✔難病の患者やや辛い治療に寄り添うことも大切な仕事
✔診断はAIがやってくれる時代に
医師になるには、医学部で6年間学んで卒業見込みまたは卒業した後、医師国家試験を受験して合格しなければなりません。
毎年、バレンタインデーの前後に行われることが多いのですが、第113回医師国家試験は、平成31年2月9日と10日の2日間にわたって実施される予定となっています。
以前は3日間で500問の問題を解いていましたが、第112回は2日間で400問の問題を解きました。
1日目はA問題が9時30分からスタートして165分間、お昼休みを挟んでB問題が午後から95分、夕方の16時10分よりC問題が140分で、終了は18時30分でした。
2日目はA問題が9時30分より165分、B問題が午後からのスタートで100分、C問題が155分と長丁場です。
165分間集中力を切らすことなく、問題を次々に解いていかなければなりません。
体力や気力も重要です。
この国家試験に合格すれば、晴れて医師免許を手にすることができます。
しかし医師たちの間ではこの免許は、「治療や検査などの医療的な目的であれば、人に針を刺したり切ったり毒薬を飲ませても許されるための免許に過ぎない」と言われています。
この免許しか持っていない医者は、研修医やレジデントくらいのものです。
一人前になろうと思ったら、さらに色々な試験を受けて様々な資格を持っておく必要があります。
今は、医学博士よりも専門医資格が大切だと考える人が多いです。
病院やクリニックのホームページを見ると、担当医のプロフィールや取得している資格の一覧を載せていることが多いです。
その中に、日本内科学総合内科専門医などと書かれていることがあります。
また日本内科学会総合内科認定医などと書いているのを見たことがあるという人もいるでしょう。
医師国家試験に合格した後、内科医であれば日本内科学会認定医を目指します。
そしてその後に専門医の取得を目指し、40歳代に突入する頃には指導医も取りたいものです。
さらに上を目指すのであれば学会評議員でしょう。
例えば、日本リウマチ学会評議員と書いてあれば、今の日本のリウマチ治療を牽引していく立場の専門医だと思ってOKです。
この薬は新しい治療戦略となりうるかなどと言った、重大事項を決める会議にも出席できます。
学会などでは、パネリストや座長を務めています。
そして、ベストドクターと言うものもあります。
その疾患の治療に於いて、世界的に第一人者と言われるような選ばれたごく一部の医師だけに与えられる、名誉ある賞です。
ベストドクターは世界中の医師の約0.6%しかいません。
日本にはおよそ30万人の医師がいますが、ベストドクターとして登録されているのは、わずかに6100人ほどです。
このように、医学部を卒業して国家試験に合格するだけでは、一人前の医者とは言えないのです。
一生、勉強し続けなければなりません。
専門医や指導医を取得するためには、試験もあるし学会や研修会に出席しなければなりません。
専門医や指導医を取った後も、この研修会は2ポイントでこの学会で発表したら3ポイントなどとポイントがあって、一定数以上のポイントをゲットしていなければ資格は失なわれてしまいます。
試験のための勉強をしたいから早く帰りたい時に限って、重症の患者さんが立て続けに搬送されて来たりと、なかなかしっかりと勉強時間が取れないことも多いのですが、それでも隙間時間を見つけては勉強しているというのが、現状です。
医師国家試験は、医師としてのスタート地点に立ったという証でしょう。
そしてそこからまた、日々研鑽を積んでいく必要があります。
医師であれば、一生勉強です。
✔医師国家試験は体力や集中力が必要
✔医師国家資格を取った後にも様々な資格が存在する
医師国家試験は、合格率が例年9割前後と高いことで知られています。
国家試験でこれだけ合格率が高いのは珍しいほどです。
試験はすべて選択式であり、記述式の問題はありません。
各分野の医師の常識が正解とされ、最新の医学論文などで発表されたばかりの説よりも、通説となっている内容を憶えたほうが有利になります。
医学の急速な進歩に伴い、学習内容は年々増えています。
絶対評価ではなく相対評価であるため、受験年度による不公平感は感じなくて済むでしょう。
ただ、合格率は操作されて決まっていますので、絶対的に必要な医学的知識のレベルだけを基準に合否が決まるものでもないようです。
常に9割前後の合格率である国家資格試験ということだと、試験内容が簡単なのではないかとイメージされがちですが、そういうわけではありません。
大学で履修して受験資格を得れば、あとはフリーパスのようなものであり、そのために医学部受験競争がし烈になっているということではないようです。
確かに医学部受験競争は非常に激しくなっており、旧帝大の他の学部よりも、地方国立大学の医学部に入るほうが難しい状態が続いています。
しかし、医学部に入りさえすればあとは国家試験がザル状態で、簡単に資格が取れるというものでは決してありません。
現に国内で偏差値が最も高い東大医学部でも、全員が合格しているわけではありません。
医学の急速な進歩に伴い、国家試験の内容も難しくなる一方です。
その内容に受験生はついて行っており、その結果としての高い合格率です。
一般的に医学部の学生は、国家試験の勉強に2年は費やします。
今や弁護士資格は必ずしも将来を約束するものではなくなりましたが、医師不足は依然として続いており、医師国家試験に合格しさえすれば生涯安泰です。
そうした十分な確固たる動機があることもあって、ほとんどすべての医学生が一心不乱に国家試験の勉強を少なくとも2年間続けます。
合格が難しそうな学生には、大学側が受験を控えるよう促す場合もあるようですから、選りすぐりの精鋭だけが受験して、9割前後の合格率となっているようです。
国公私立大学の中で、合格率が高いのは、公立大学となっています。
ここ10年間、例外なく毎年そうです。
次が国立大学となっており、これもここ10年変わりません。
公立大学医学部では、2014年の合格率が95.5%でした。
ここ10年で最高の合格率です。
2017年の私立大学の合格率は86.5%であり、それがここ10年で最も合格率が低かった数字となります。
2017年は全体の合格率も88.7%と、ここ10年で最低でした。
✔医師国家試験はすべて記述式
✔医師国家試験の合格率は9割前後と高い
✔公立、国立、私立の順に合格率が高い
医師になるには、日本の学校教育法に基づく大学の医学部に入学し、6年間学んで卒業し、あるいは卒業見込みであって医師国家試験に合格しなければなりません。
その後2年間の臨床研修を経て、臨床医になることができます。
臨床医になれた医師は、医師法で認められた医療行為をおこないます。
医師国家試験の合格率は、ここ10年間は9割前後で推移しています。
合格率は高くても内容は難しく、医学の急速な進歩に伴って以前よりも更に内容が細かくなってきています。
試験では最新の論文の内容よりも、臨床現場で定説となっている内容が正解とされます。