司法試験の内容や難易度とは、予備試験や勉強法、弁護士への道
「司法試験って具体的にはどんな試験なの?」
「司法試験って難しいと聞くけど合格率はどれくらいなの?」
このような疑問を抱く方は多いと思います。
今回の記事は、そんな司法試験について詳しく説明していきます。
司法試験とは?
司法試験とは、法曹三者「裁判官」「検察官」「弁護士」になるための必要な能力を判定するための試験になります。
司法試験の基本情報
受験資格 | 法科大学院過程の修了者/予備試験の合格者 |
---|---|
試験内容 | 短答式試験と論文式試験 |
合否判定 | 短答式試験を合格した者のうち、二つの試験の点数が合格点以上の者 |
受験費用 | 受験手数料28,000円 |
非常に採点方法が厳しく狭き門ということがわかります。
司法試験の受験資格とは?2つのルート
①法科大学院ルート
法科大学院とは、「弁護士」「検察官」「裁判官」の養成を取り組んでいるスクールです。ロースクール(Law school,School of Law)とも言います。
2004年4月に創設され、法科大学院を設置している大学は35校あります。
コース設定は社会人をはじめ、様々なバックグラウンドの人材を確保するために、未修者を対象とした3年コースと法学既修者を対象とした2年コースを設置しています。
法学未修者コース(3年間)
法科大学院では3年間が標準修業年限で、これを標準コースまたは未修者コースを呼んでいます。
このコースでは法学の基本科目を一から学習します。
法学部以外の学部の出身者はこのコースを選択することが多いです。法学部を卒業していてもこのコースに入学することが可能です。
法学既修者コース(2年間)
法学既修者コースに入学するためには、法科大学院から法律基本科目を修得済みと認定され、法科大学院が実施する法律基本科目試験で合格することが必要になります。
法学既修者コースは法学部を卒業していなくても法律基本科目試験を合格することができれば入学が認められます。
注意点としては、法科大学院で学ぶことは、大学院へ進学ということになります。
そのため、法科大学院ルートを選択するためには原則として大学を卒業することが必要となります。
また、法科大学院を修了すれば、法務博士という学位を取得することができます。
法科大学院ルートのメリット
法科大学院に進学することのメリットとしては、2年間ないし3年間、大学の恵まれた環境でしっかりと勉強することできることなどがあります。
法科大学院ルートのデメリット
法科大学院に進学することのデメリットとしては費用の問題があります。
比較的安価と言われている国立大に設置されている法科大学院であっても1年あたり80万円以上の学費が必要となります。
金銭的に余裕がない場合には、予備試験ルートの検討、奨学金制度などが充実した経済的支援のある私立大学に設置された法科大学院への進学や授業料免除制度等の利用を念頭に国立大学の法科大学院に進学するといった選択する人が多いです。
②予備試験ルート
司法試験受験資格のもう一つのルートは予備試験(司法試験予備試験)です。
予備試験を受講するために受験資格はなく誰でも受験することができます。
予備試験内容
短答式試験 | 論文式試験 | 口述試験 | |
---|---|---|---|
受験資格 | なし | 当該年度の短答式試験合格者 | 当該年度の論文式試験該当者 |
実施時期 | 5月 | 7月 | 10月 |
試験期間 | 1日 | 2日間 | 2日間 |
科目 | 法律基本科目 一般教養科目 |
法律基本科目 法律実務基礎科目 一般教養科目 |
法律実務基礎科目 |
予備試験は法科大学院を卒業していなくても、試験に合格することで司法試験の受験資格を取得することができます。
予備試験は法科大学院に進学する時間やコストを省くことでき、かなり魅力的な手段です。
そのため、10代で司法試験に合格することも可能です。
予備試験の魅力
- 低コスト
- 合格しやすい
- 予備試験がそのまま受験対策になる
上記でも紹介した通り予備試験は法科大学院に進学する必要がないため非常にコストを抑えて受験資格を取得することができます。
予備試験の出題内容は法律科目の基本中の基本が出題されます。
基礎を完全にマスターすれば十分に合格できる問題が多いです。
予備試験を受験するデメリット
一方デメリットとしては、予備試験の試験範囲が法科大学院ルートより広くなる点が挙げられます。
しかしこれは、本試験の対策もできているということです。
予備試験の短答式試験は司法試験の問題と7割が共通しています。予備試験の対策がそのまま司法試験対策になるため予備試験の対策でゴールが近づいてきます。
そのため、予備試験合格者の司法試験合格率は、法科大学院からの受験者よりも多いです。
✔︎司法修習を終えることが法曹三者になるための条件
✔︎法科大学院科予備試験の二つのルートがある
✔︎予備試験はコスト削減できるが出題範囲が広い
司法試験の試験日程は?
司法試験の日程
2023年度の司法試験の実施日程を紹介します。
7月12日(水) | 論文試験 | 選択科目(3時間) 公法系科目第1問(2時間) 公法系科目第2問 |
---|---|---|
7月13日(木) | 民事系科目第1問(2時間) 民事系科目第2問(2時間) 民事系科目第3問(2時間) |
|
7月15日(土) | 刑事系科目第1問(2時間) 刑事系科目第2問(2時間) |
|
7月16日(日) | 短答式試験 | 憲法(50分) 民法(75分) 刑法(50分) |
試験時間が長く日程も過密です。心身のケアをしっかり行い実力が発揮できるよう事前にシミュレーションを行っておくことが大切です。
予備試験の日程
2023年度の予備試験の試験日程を紹介します。
短答式試験
短答式試験は7月16日(日)に実施されます。
科目 | 試験時間 |
---|---|
憲法 行政法 |
合計1時間 |
民法 商法 民事訴訟法 |
合計1時間30分 |
刑法 刑事訴訟法 |
合計1時間 |
一般教養科目 | 1時間30分 |
論文式試験
論文式試験は9月9日(土)、10日(日)に実施されます。
論文試験を受験するためには短答式試験を合格しなければなりません
科目 | 試験時間 |
---|---|
憲法 行政法 |
合計2時間20分 |
民法 商法 民事訴訟法 |
合計3時間30分 |
民法 刑事訴訟法 |
合計2時間20分 |
一般教養科目 | 1時間 |
法律実務基礎科目 | 3時間 |
司法試験だけでなく予備試験も試験時間が長いだけでなく、対応しなければならない問題がハイレベルです。
過去問を解くだけでなく時間配分にもしっかり気を配りながら試験を進めましょう。
司法試験の料金・費用は?
司法試験の受験の際にかかる料金・費用を予備試験の料金・費用を含めて紹介します。
司法試験・予備試験の受験にかかる料金・費用
司法試験 | 予備試験 | |
---|---|---|
受験手数料 | 28,000円 | 17,500円 |
法科大学院に進学するルートではかなりのコストがかかってしまいますが、予備試験のルートではかなりコストを抑えて司法試験合格まで進むことができます
司法試験の合格率は?
司法試験の受験者数と合格率
年度別に受験者数と合格率を表でまとめてみました。
2020年 | 2019年 | |
---|---|---|
受験者数 | 3,703人 | 4,466人 |
短答合格者数 | 2,793人 | 3,287人 |
短答合格率 | 75,43% | 73,60% |
総合合格者数 | 1,450人 | 1,502人 |
総合合格率 | 39,16% | 33,63% |
司法試験合格率の推移を見ていくと、合格率が司法試験制度によって大きく影響を受けました。
大きな司法試験改革がおこなわれたのは2006年です。
その年以前のいわゆる旧司法試験の合格率は、おおむね3%前後で長く推移していました。
新司法制度となってからは、これが大きく跳ね上がり、合格率は20%前後で推移するようになっています。
新司法試験では受験資格が限定されるようになり、誰でも受験できるものではなくなりました。
その影響が大きいと見られます。
またあえて司法試験改革をおこなったのは、法曹界の人間を増やすためであり、そのために合格基準が変わったとも見られ、その影響もありそうです。
このように司法試験制度改革後の合格率は飛躍的に上がったものの、国家試験としては依然として難関のままとなっています。
現在は旧制度よりは合格しやすい状況と言えるため、今後再び制度改革がおこなわれ、合格するのが更に困難とならないうちに、受験するのが得策であると考えられます。
予備試験の合格率
予備試験の受験者数と合格率を年代別で表でまとめてみました。
2020年 | 2019年 | |
---|---|---|
受験者数 | 423人 | 385人 |
短答合格者数 | 419人 | 381人 |
短答合格率 | 99,05% | 98,96% |
総合合格者数 | 378人 | 315人 |
総合合格率 | 89,36% | 81,82% |
予備試験の合格率は非常に高い割合です。
合格者率ランキング
2020年度の司法試験合格者の出身校をランキング形式でまとめてみました。
順位 | 法科大学院名 | 合格率 |
---|---|---|
1位 | 予備試験合格者 | 89,4% |
2位 | 愛知大法科大学院 | 77,8% |
3位 | 一橋大法科大学院 | 70,6% |
4位 | 東京法科大学院 | 59,4% |
5位 | 京都大法科大学院 | 57,8% |
法科大学院を卒業していなくても司法試験合格することができることがわかりました。
他資格と比較すると
司法試験は国家試験の最難関として、公認会計士試験および国家公務員上級甲種試験と並び称されるものです。
公認会計士試験の合格率は、2016年で5.6%であり、司法試験よりも低くなっていますが、受験資格が制限されず、誰でも受けられることを考えると、旧制度下のような合格率になるのもうなづけます。
司法書士試験も受験資格がなく、同様に合格率が極めて低いものとなっています。
受験資格が制限されたことで、合格率が20%前後とはなりましたが、新制度下でも難関であり続けることに変わりはないようです。
ただそう考えたとしても、世間一般の人々からは、制度改革前よりは合格しやすくなっている、という目で見られてはいます。
✔︎新制度の導入以降、合格率は平均20%
✔︎旧制度よりも合格しやすくなった受験するなら今!
わが国で最難関であるとされる試験であり、合格率は受験資格制限があっても20%前後で推移する厳しいものとなっていますが、旧制度よりは合格しやすくなっていると言え、今後の新たな制度改革に備えて、現在の制度下で合格しておくのが得策です。
社会的評価も高く、旧制度下では資格があれば生涯安泰とされていたほどです。
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