ベクトル方程式は、ベクトルを使って線を表す方法です。
そう聞くと「難しそう」と感じて、身構えてしまう方が少なくないはずです。
しかし、ベクトルを使って内分点・外分点を表す方法が理解できていれば、そこまで難しい単元ではありません。
焦らず1つずつ理解することで、確実にマスターできるようになります。
例題を使いながらわかりやすく解説するので、ぜひ一緒に学習していきましょう。
ベクトル方程式を学習する上で理解しておきたいのがベクトルで内分点・外分点を表す方法です。
ベクトルで内分点・外分点を表す方法を理解しておくことで、ベクトル方程式の理解度が高まることは間違いありません。
そのため、まずはベクトルで内分点・外分点を表す方法を復習しましょう。
ベクトルで内分点・外分点を表すには、位置ベクトルの概念を理解していることが大切です。
位置ベクトルは、原点Oを始点とし、終点の位置を表すベクトルのことを指します。
例えば、点A(1,2)があるとします。
Oを始点、Aを終点としたベクトルを「aベクトル」とすると、点A(aベクトル)と表すことが可能になるのです。
これを位置ベクトルといいます。
では、内分点・外分点をベクトルを使って表してみましょう。
従来、線分ABをm:nに内分する点Pは、
P(nx1+mx2/m+n, ny1+my2/m+n)と表します。
これを位置ベクトルを使って表すと、
点A(aベクトル)、点B(bベクトル)を結ぶ線分ABをm:nに内分する点Pは、
「pベクトル」=n「aベクトル」+m「bベクトル」/m+nと表せます。
外分点についても同様のことがいえます。
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先ほどは、ベクトルを使って点を表す方法を学習しました。
数学Ⅱでは、内分点・外分点により、点の表し方を学習したあと、方程式により線を表す方法も学習しました。
ベクトルにおいても同様に、方程式により線を表すことが可能です。
線は点の集まりなので、ベクトルで点が表せれば線も表せます。
これをベクトル方程式と呼びます。
ベクトル方程式は入試問題にもよく出題されるジャンルであり、問題の種類も複数あることから、以下でひとつずつ解説します。
CHECK
まずは、円を表すベクトル方程式を学習します。
そもそも円とは何かを定義した後に、円を表すベクトルの3種類の問題形式を解説するので、一緒に理解を深めましょう。
円とは、ある1つの点の周りに一定の距離で存在する点の集まりのことです。
例えば、原点を中心とした半径rの円は、原点からの距離が常にrであることを表しています。
このことを理解したうえで、円を表すベクトル方程式の計算方法を学習しましょう。
円上の任意の点Pを取り、点Pの位置ベクトルを「pベクトル」とおきます。
この際、|pベクトル|=rという式が成り立ちます。
必ず原点Oを中心とした半径rの円になるため、この式が成り立ちます。
このように、図形を表せる方程式をベクトル方程式と呼びます。
では、円の中心が原点Oではなく点Aになった場合を考えてみましょう。
点Aを中心とした半径rの円です。
点Aの位置ベクトルを「aベクトル」とすると、点Aから円周上の点Pまで伸びた「APベクトル」の長さが常にrであれば良いことになります。
したがって、|APベクトル|=rという式が成り立ちます。
その後、「APベクトル」を点Pの位置ベクトルと点Aの位置ベクトルを使って表します。
ここで、いきなり「APベクトル」を考え始めてもどのように計算すれば良いか分からないはずです。
そこで、原点Oを介して考えると、「APベクトル」は「AOベクトル」と「OPベクトル」に分けて考えることができます。
よって、「APベクトル」=「AOベクトル」+「OPベクトル」と表せます。
この式を変形すると、「APベクトル」=「-OAベクトル」+「OPベクトル」と表せるため、「APベクトル」=「-aベクトル」+「pベクトル」となります。
整理をすると、|「pベクトル」-「aベクトル」|=rです。
もう1つのパターンについて学習しましょう。
それは、2点A,Bが直径の両端にくるベクトル方程式です。
点A、点Bの位置ベクトルを、それぞれ「aベクトル」「bベクトル」としたとき、円周上の点P「pベクトル」を使うと、どんな式が作れるのでしょうか?
これは直径の両端からくる円周角が理解できていれば解けます。
中心角は円周角の2倍です。
これをもとに考えると、直径の両端からくる中心角は180°なので、直径の両端からくる円周角は90°となります。
つまり、「APベクトル」と「BPベクトル」は直角に交わることがわかるでしょう。
ここで、2つのベクトルが直角に交わっている際のルールを思い出してください。
2つのベクトルが直角に交わるときは内積が0になります。
最後に、「APベクトル」や「BPベクトル」を位置ベクトルを使って表しましょう。
先ほどと同様に、原点Oを介して考えると、
「APベクトル」・「BPベクトル」=0より
(「AOベクトル」+「OPベクトル」)・(「BOベクトル」+「OPベクトル」)=0
(「-OAベクトル」+「OPベクトル」)・(「-OBベクトル」+「OPベクトル」)=0
(「-aベクトル」+「pベクトル」)・(「bベクトル」+「pベクトル」)=0
(「pベクトル」-「aベクトル」+)・(「pベクトル」-「bベクトル」)=0
これが答えになります。
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続いて、直線のベクトル方程式について学習します。
直線のベクトル方程式の基本的な計算方法を学習した後に、2点を通るベクトル方程式についても学習しましょう。
まず、点Aを通って「dベクトル」に平行な直線を考えましょう。
直線上の任意の点をPとして、点Pの位置ベクトルを「pベクトル」とします。
「pベクトル」は「OPベクトル」のことですが、考え方を変えると「OAベクトル」+「APベクトル」とも表せます。
ここで、「APベクトル」は「dベクトル」に平行であることから、「dベクトル」を実数倍したものが「APベクトル」であると考えられます。
実数をtとおくと、「APベクトル」=t「dベクトル」と表せます。
したがって、「pベクトル」=「aベクトル」+t「dベクトル」が答えです。
最後に、2点を通るベクトル方程式の解き方を解説します。
2点A,B上を通る直線上の点をPとし、その位置ベクトルを「pベクトル」とします。
「pベクトル」は「OPベクトル」と同じですが、「OAベクトル」+「APベクトル」とも考えられます。
ここで、「APベクトル」は「ABベクトル」と平行であるため、実数をtとすると、
「APベクトル」=t「ABベクトル」となります。
「ABベクトル」=-「aベクトル」+「bベクトル」より、
「pベクトル」=「aベクトル」+t(-「aベクトル」+「bベクトル」)
=(1-t)「aベクトル」+t「bベクトル」
以上が2点を通るベクトル方程式の解説になります。
CHECK
ベクトル方程式のおすすめの勉強法は、基礎的な問題を繰り返し学習することです。
まずは、ベクトル方程式を学習するうえでの基礎である、ベクトルの基本やベクトルの性質、内積、位置ベクトルが理解できていることが大切です。
これらを理解したうえでベクトル方程式の問題演習を進めましょう。
難しい問題にこだわるのではなく、まずは難易度の低い問題を繰り返し学習し、解き方を身につけることが大切です。
そのうえで難易度の高い問題を解けば、多くの時間を割く必要がなくなり、効率よく学習できるようになるでしょう。
ベクトル方程式の学習におすすめの問題集の範囲は以下の通りです。
ここに挙げた問題集は、基礎的な問題が多く掲載されているため、基礎固めに適している教材です。
ここに掲載されている問題を繰り返し解いて、解き方を身に付ければ、共通テストレベル、またそれ以上の難易度の問題にも挑戦しやすくなるでしょう。
もちろん学校で使用している問題集があれば、定期テスト対策にもなるので、そちらを使用しても構いません。
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CHECK
今回は、ベクトル方程式について解説しました。
ベクトル方程式は、主に円を表すベクトル方程式と直線のベクトル方程式の2種類があります。
ベクトル方程式を理解するには、ベクトルの基本を理解する必要があります。
ベクトルの基本を理解したうえで、ベクトル方程式のそれぞれポイントを理解できれば、そこまで難しいという印象はないはずです。
基本をきちんと理解して、問題演習を繰り返すことで、解き方を身につけてください。
「ベクトル 方程式」に関してよくある質問を集めました。
原点Oを中心とする半径がrの円の場合、円上の任意の点Pについて、必ず「|pベクトル|=r」が成り立ちます。また、円の中心がAの場合は、|「pベクトル」-「aベクトル」|=rが成り立ちます。これらの式のことをベクトル方程式と呼びます。円を表すベクトル方程式についてはこちらを参考にしてください。
点Aを通って「dベクトル」に平行な直線を考え、その直線上の任意の点をPとして、点Pの位置ベクトルを「pベクトル」とします。「pベクトル」は「OAベクトル」+「APベクトル」とも表せ「APベクトル」は「dベクトル」に平行であることから、「APベクトル」=t「dベクトル」と表せます。変形すると「pベクトル」=「aベクトル」+t「dベクトル」となります。直線のベクトル方程式についてはこちらを参考にしてください。