今回はその共通テストの科目の中から、「生物」についての最新情報をご紹介していきます。
「問題構成や内容はどういう形になるの?」、「過去問もないのにどういう勉強をすればいいのかわからない」、「どの参考書を選べばいいのか…」など、様々な疑問や不安を抱えている受験生も多いことでしょう。
本記事を読んで、共通テスト生物の万全の対策を行って下さい。
■まとめ
大学入試センター試験は、2021年度から大学入学共通テストに変更されました。
大学入学共通テストの日程 | |
---|---|
試験日 | 2024年1月13日(土)・14日(日) |
中間発表 | 2024年1月19日 |
最終発表 | 2024年2月7日 |
大学入学共通テストは、センター試験と同じく1月の中旬の土日に行われ、文系科目と理系科目で日程が2日に分かれています。
試験会場は全国に実施され、国公立大学の受験者は原則共通テストの受験が必要です。
共通テストでは、6教科30科目を受験することができます。
教科 | 科目 |
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国語 | 国語 |
地歴公民 | 世界史A・世界史B・日本史A・日本史B・地理A・地理B |
公民 | 現代社会・倫理・政経 |
数学 | 数学Ⅰ・数学A・数学Ⅱ・数学B・簿記・会計・情報関係基礎 |
理科 | 物理基礎・物理・化学基礎・化学・生物基礎・生物・地学基礎・地学 |
外国語 | 英語・ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語 |
すべての科目を受験する必要はなく、受験に必要な科目は大学によってそれぞれ異なるので、自分の受験する必要のある科目をしっかり認識しましょう。
共通テストではセンター試験と比べて、知識の理解の質を問う問題や思考力、判断力、表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視して作問が行われています。
教科書に載っていない初見資料を扱う問題や、複数選択を求められる問題が出題される傾向もあります。
ここでは,共通テストとセンター試験の出題構成を比較していきます。
大問数 | 共通テストの出題構成 | センター試験の出題構成 |
---|---|---|
第1問 | 生命現象と物質・進化と系統 | 生命現象と物質 |
第2問 | 生態と環境(外来生物と個体群) | 生殖と発生 |
第3問 | 生態と環境(生産構造図) | 生物の環境応答 |
第4問 | 生物の環境応答(学習) | 生態と環境 |
第5問 | 生殖と発生・生物の環境応答(植物) | 生物の進化と系統 |
第6問 | 生殖と発生(動物) | 生命現象と物質 生物の環境応答 |
第7問 | ー | 生物の進化 |
センター試験では、「生命現象と物質」「生殖と発生」「生物の環境応答」「生態と環境」「生物の進化と系統」などという大問で構成され、単元ごとに問題が作られていました。
しかし共通テストでは、大問ごとでも分野をまたぐような問題が出題されるようになります。
また、センター試験の6問目・7問目は選択問題となっており、どちらか一方を選択し解答する必要があったのに対し、選択問題がなくなり、全問必答という形になります。
ここでは、過去2年間の共通テストの配点を比較しています。
大問数 | 共通テスト | センター試験 |
---|---|---|
第1問 | 14 | 18 |
第2問 | 15 | 18 |
第3問 | 12 | 18 |
第4問 | 13 | 18 |
第5問 | 27 | 18 |
第6問 | 19 | (10) |
第7問 | ー | (10) |
センター試験に比べ、大学入学共通テストの配点はバラバラになっています。
試験時間は、理科科目に関してはセンター試験からの変更はありません。
1科目選択で60分、2科目選択で130分となっており1科目60分の試験時間になります。
✔理解の質や思考力を問う問題が増加
✔共通テストは配点がバラバラ
✔1科目60分の試験時間
共通テストの生物科目についてより詳しく見ていきましょう。
出題範囲はセンター試験から変更なく、基本的には教科書にある単元から出題されます。
ただ共通テストでは、分野をまたぐ問題が多く出題されることが予想されるため、教科書の範囲を満遍なく理解しておく必要があります。
ここでは、昨年の共通テストの生物の問題構成をご紹介します。
大問数 | 分野 | 問題内容 | マーク数 |
---|---|---|---|
第1問 | 生命現象と物質・進化と系統 | 乳糖の消化 | 4 |
第2問 | 生態と環境 | 種間関係 | 4 |
第3問 | 生態と環境 | 生産構造図 | 3 |
第4問 | 生物の環境応答 | 動物の行動 | 4 |
第5問 | 生殖と発生・生物の環境応答 | 植物の発生・植物ホルモン | 7 |
第6問 | 生殖と発生 | 動物の発生・動物の行動 | 5 |
以下では、共通テストの生物の問題を細かく分析していきます。
乳糖の消化をテーマとした第1問は、基礎知識を用いた問題と計算が必要な問題が出題されました。
共通テストならではの分野をまたがった出題方法であり、4問目ではデータを読み取る考察問題が出題されました。
第2問には、外来生物やトカゲの種類に関係する問題が出題されました。
第2問でもデータを読み取る問題が出題され、別分野である進化の知識も必要な問題となっていました。
第3問は、植物の生産構造図に関する基礎問題と応用問題が出題されました。
3問目には、データを読みとって比較する必要がある問題も出題されました。
第4問は、動物の学習と鳥類についての問題でした。
教科書には載っていない現象の問題が出題され、応用して考える力を求められました。
第5問は、1問目は植物の発生に関する知識問題、2・3問目は葉の仕組みに関する問題、4・5・7問目は根のクロロフィル合成に関する問題が出題されました。
実験方法や図を読み取り問題を解く考察力が問われる問題でした。
第6問は、AとBの問題に一貫して眼に関する問題が出題されました。
第6問でも、複数のテーマに関する知識が求められました。
ここでは、2019年度・2020年度のセンター試験と2022年度・2023年度の共通テストの平均点を比較していきます。
生物の平均点 | |
---|---|
2019年度 | 62.89 |
2020年度 | 57.56 |
2022年度 | 48.81 |
2023年度 | 49.85 |
2022~3年の平均点は、比較的低い平均点となっているため、センター試験と比べると問題が難化したと考えられます。
平均点は、およそ60点前後である年が多いようです。
✔分野をまたぐ問題が出題
✔データを読み取る実験考察の問題が増加している
✔問題文が長くなり読解力も必要に
ここでは、生物科目の勉強方法や共通テスト対策について解説します。
1:早いうちに全範囲を一通り勉強する
2:幅広く細かい部分も理解しておく
3:問題演習を多くこなす
高い点数をとるためには、まず早い内に生物科目全体を一通り勉強して、基本的な知識は確実にインプットしていきましょう。
ただ単語を丸暗記するだけではなく、その単語はどういう意味を持っているのか、関連した単語はあるのかなど、アウトプットも出来るようにしておいてください。
また単元ごとにぶつ切りで勉強を進めるのではなく、この単元は他の単元とどういったところで共通しているのかという点を意識しながら進めていくと、より体系的な知識が身に付きます。
共通テストでは様々な実験や観察に関する問題が多く出題されます。
そのため、例えば教科書で勉強をする際には、本文以外の細かいと思われる部分も正確に理解しておくようにしましょう。
こうした内容は必ずしも暗記をする必要はなく、考え方がきちんと理解できていれば、本番で未知の資料やデータが出てきた際も対応ができるようになります。
アウトプットが上手く出来るかどうかを確認するために、やはり問題演習をこなすことが重要になります。
いきなり共通テスト用の問題に取り組むのではなく、まずは基本的な問題から解いていきましょう。
資料やデータを正確に読み取る力も重要になってくるので、時間のかかりそうな考察問題にもじっくり取り組みましょう。
●生命現象と物質→表や図を活用する
●生殖と発生→幅広く学習する
●生物の環境応答→テーマを読み取る力をつける
●生態と環境→基礎知識を抑える
●生物の進化と系統→演習を繰り返す
原核生物・真核生物の転写調節や、PCR法、窒素固定、遺伝子暗号の解読、タンパク質などの分野です。
原核生物・真核生物の転写の調節など複雑なものは、表や図を活用して、理解できるように勉強しましょう。
動物の発生や植物の発生、配偶子形成などの分野です。
知識問題の他に、実験考察問題も出題されやすいので、幅広い理解が必要です。
植物ホルモン、光周性、動物の行動、筋収縮などの分野です。
考察問題が出題されやすいので、問題のテーマを読み解く力が必要です。
演習問題などを解いて、問題から必要な情報やテーマを素早く読み取る練習をしましょう。
個体群と生物群集、エネルギーの流れ、生物多様性などの分野です。
生物基礎の知識も使う問題が出題されることもあるので、基礎知識をしっかり押さえておきましょう。
生物の分類や進化のしくみ、植物の生活環などの分野です。
基礎知識をしっかりと固めて、演習を行い、理解をすすめましょう。
✔基本知識は確実にインプットする
✔細かい部分も考え方を理解しておく
✔考察問題にも慣れておく
ここではおすすめの参考書を4冊紹介します。
著者 | 出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
大森 徹 | かんき出版 | 1,650円 |
第1編では重要ポイントの40テーマを徹底的にインプットします。
問題を解くことでアウトプットも行い、知識の定着を図る構成になっています。
第2編ではテーマ別完全対策ということで、共通テストを意識した問題などが載っています。
著者 | 出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
文英堂編集部 | 文英堂 | 1,650円 |
問題が単元ごとに細かく分かれているので、自分の苦手分野やテスト範囲に絞って学習することができます。
テキストには色がついており、解説も簡潔でわかりやすいので、基礎を固める学習にぴったりです。
著者 | 出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
大森 徹 | KADOKAWA | 2,860円 |
合計10章に分かれており、各分野について細かく説明されています。
難関大学の二次試験対策にもなるので、共通テストで8割以上取りたい方は1冊持っているといいでしょう。
著者 | 出版社 | 価格(税込) |
---|---|---|
教学社編集部 | 教学社 | 1,078円 |
センター試験の過去問題だけではなく、共通テストの試行調査(プレテスト)の問題も掲載されています。
共通テスト対策に役立つ思考力問題が多数掲載されているので、考察力などを鍛えることができます。
傾向と対策についても細かく解説もされていますので、ぜひ一度は取り組んでおきたい問題集です。
家庭教師のトライ | |
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対象学年 | 幼児~浪人生 |
対象地域 | 全国 |
特徴 | 1対1の個別教育でひとりひとりの目標達成をサポート |
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本記事では、共通テストの生物について見てきました。
共通テストでは、センター試験よりもデータを読み取る問題や考察力を図る問題が多く出題されていることがわかりました。
共通テストの生物は、土台の知識が固まっていて問題文を考察する力があれば、必ず結果は付いてきます。
しっかりと対策をして、本番を悔いのないように迎えましょう。
「共通テスト 生物」に関してよくある質問を集めました。
共通テストの生物は、センター試験では大問ごとに分野が区切られて出題されていましたが、共通テストでは分野をまたぐ問題が多く出題されています。出題範囲に関してはセンター試験からの変更はなく、教科書の全範囲をまんべんなく理解しておく必要があります。
共通テストの生物の対策法としてはまず、早いうちに基本的な内容はインプットしながら、全範囲を一通り勉強することが大切です。その後細かい部分も正確に理解をしながら、問題演習を繰り返し、数をこなしていきましょう。分野別の細かい対策方法については記事に記載しています。