司法書士という名前は聞いたことがあるけれど、どんな資格なのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
司法書士は合格率は低いですが、誰でも受験することができ、一度合格してしまえば短期間で比較的高い給料で働くことができます。
この記事では、司法書士試験の合格率や効果的な勉強方法を解説します。
司法書士資格とは、高度な法律の知識が必要となる書類の作成や手続きを行うことのできる国家資格です。
法律上のトラブルを解決するために、法律相談やコンサルタントなどの役割を担うこともあります。
司法書士になるためには、司法書士試験を受ける以外にも法務大臣の認可を受けるという方法があります。
また、司法書士試験は、誰でも何歳でも受けることができるため、受験しやすい資格となっています。
司法書士の仕事内容は、法律に関する専門知識を用いて、書類の作成や手続きを行うことが主となっています。
また、遺言書の作成や相続についてのアドバイスなどもすることができるため、高齢化が進む現代では需要の高い仕事であると考えられます。
司法書士になるのは大変ですが、年収は約400万~600万円であるため、なってしまえば比較的高い給料を安定して得ることができます。
上記でも述べたように、司法書士は、法律に関する知識を用いて書類の作成や手続き、業務相談などを行うことができます。
対して、行政書士は、役所や官公署に提出する生活に関する書類の作成や手続きを行うことができます。
書類の作成や手続きといった面での仕事内容は同じですが、書類の内容や書類を提出する先は異なっています。
司法書士と行政書士は、問題数や出題範囲に大きな差があります。
また、例年の合格率や勉強に必要な時間にも大きな差があり、一般的には司法書士試験のほうが難しいと考えられています。
✔︎司法書士は法律の知識を使って仕事を行うための国家資格
✔︎司法書士試験に合格するか、法務大臣の認可をもらえれば司法書士になれる
✔︎行政書士とは、扱っている書類の内容が違う
ここでは、令和5年度の司法書士試験についてご紹介します。
司法書士試験 | |
---|---|
出願期間 | 令和5年5月8日~5月19日 |
試験日程 | 筆記:令和5年7月2日 口述:令和5年10月23日 |
筆記試験会場 | 東京・横浜・さいたま・千葉・静岡・大阪・京都 神戸・名古屋・広島・福岡・那覇・仙台・札幌・高松 |
口述試験会場 | 東京・大阪・京都・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松 |
合格発表 | 筆記:令和5年10月10日 最終:令和5年11月10日 |
司法書士の試験は、毎年7月に年1回行われます。
筆記試験の合格者は、口述試験を受ける必要があり、両方合格した者が司法書士の合格者となります。
筆記試験を行っている地域の中で、口述試験を行っていないところもあります。地域によって筆記試験と口述試験の会場が異なるので、注意が必要です。
司法書士試験の試験時間は、令和3年から厳しくなっており、指定時刻までに試験室にいなかった場合には試験を受けることができません。
着席時刻 | 指定時刻 | 試験時刻 | |
---|---|---|---|
午前の部 | 9:00 | 9:15 | 9:30~11:30 |
午後の部 | 12:30 | 12:45 | 13:00~16:00 |
司法書士試験の問題範囲は、民法や憲法というような一般的な法律の知識を問う問題から、商業登記法や不動産登記法、司法書士法や供託法などあまり馴染みのないような法律の科目まで11科目となっています。
司法書士試験の午前では、憲法・民法・商法・刑法の知識を問う問題が35問105点満点で出題されます。
多くは正誤問題であり、35問を2時間で解答し、8割以上は確保するのが必須条件となっています。
司法試験受験経験がある方でも、必ずしも容易に高得点を獲得できるとは限らない、独特の出題形式です。
午後の試験では、民事訴訟や民事安全に関する知識と業務を行うために必要とされる能力を図る択一式の問題と、登記についての知識を問う択一式と記述式の問題が出題されます。
択一式は35問で105点満点、記述式は2問の問題を3時間で解答する必要があります。
午後の部の問題は、それほど難しくはありませんが、問題の量が多いのでとにかくスピードを速く解く必要があります。
司法書士試験では、午前の択一問題・午後の択一問題・記述問題の3つそれぞれに合格基準点が定められます。
合計点が基準点を超えていても、3つの内1つでも基準点を超えていなければ、不合格となってしまうため、各分野きちんと理解している必要があります。
✔︎司法書士の試験は毎年7月に行われている
✔︎試験は午前の部と午後の部がある
✔︎合格基準点が定められている
合格率だけで見た場合、司法書士試験の合格率は約3~4%、司法試験の合格率は約20%となっており、司法試験よりも難しいのではないかと考えられます。
しかし、司法試験には受験資格が必要であり、司法書士試験は誰でも受験できるという点が、司法書士試験の合格率を下げている要因のため、実際は司法試験のほうが難しいです。
司法書士試験は、国家試験のなかでも合格率の低い国家試験です。
実受験者 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
12,727人 | 660人 | 約5.2% |
司法書士試験の合格率の平均は約3%~4%と言われているため、令和4年度は合格率が少し高かったようです。
年度 | 実受験者 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和4年度 | 12,727人 | 660人 | 約5.2% |
令和3年度 | 11,925人 | 613人 | 約5.1% |
令和2年度 | 11,494人 | 595人 | 約5.2% |
平成31年度 | 13,683人 | 601人 | 約4.4% |
平成30年度 | 14,387人 | 621人 | 約4.3% |
過去の合格率と比較してみると、司法書士試験の合格率はこの5年間で増加していることがわかります。
資格 | 合格率 |
---|---|
司法書士 | 約4% |
行政書士 | 約10% |
社労士 | 約7% |
宅建士 | 約15% |
司法書士試験の合格率は、他の国家試験の合格率と比較すると圧倒的に低いことがわかります。
法律に関するたくさん知識を問われるため、1年で合格するのは難しいようです。
✔︎令和4年の合格率は約5%
✔︎合格率は年々増加している
✔︎他の国家資格と比べると、1番合格率が少ない
司法書士試験の合格に必要な勉強時間は、約3,000時間程度と言われています。
行政書士合格に必要な勉強時間は、約900時間といわれているため、約3倍の勉強時間が必要であることがわかります。
司法書士は、独学でも合格は可能です。
特にお金がなく時間のある学生には、独学での勉強がおすすめです。
しかし、司法書士の試験にはたくさんの専門知識が必要であり、また必要な勉強時間も膨大なため、確実に合格したい方には予備校や通信教材がおすすめです。
司法書士試験にすぐに合格したいという人におすすめなのは、予備校や専門学校に通うことです。
予備校などでは、司法書士試験に焦点をあてた学習をわかりやすく指導してくれるので、資格勉強が初めての人にもおすすめです。
予備校に通う時間はないけれど、しっかり試験対策を行いたい人におすすめなのは通信教育です。
通信教育には、まったく知識のない初心者からでも始められる講座が多くあります。
また、基本的に自分の好きな時間に好きな場所で学習を進めていくことができるので、忙しい人に最適です。
早期合格を目指すならいかに民法を効率的に攻略できるかがポイントです。
司法書士試験では、民法を万遍なく学習することが必須といえます。
過去問は100%正解できるまで繰り返し学習し、演習問題をたくさん解いておきましょう。
会社法は民法の特別法といわれますが、実態はまったく別の法律です。
そこで早期から過去問演習に取り組んで、具体的にイメージすることが大切です。
問題を解いて教科書を確認して知識の定着を図る、シンプルですが一番効果的な学習法です。
憲法と刑法は、苦手意識を持つ方が多い科目のため、憲法で2問、刑法で2問正解を目指しましょう。
憲法の問題では、人権編の有名な判例の事件の概要や要旨は抑えておき、統治機構では条文の素読しておくことが効果的です。
刑法は総論の共犯や刑罰論は落としがちですが、過去問を中心に各論を得点源に出来れば理想的です。
午後の部の試験では、民事訴訟法や供託法などマイナー科目が11問並びます。
民事執行法などでは難問が出題されることもありますが、8問以上は正解できるようにしましょう。
過去問は徹底的に潰しておき、とにかくスピーディーに解答できるまで演習を怠らないことです。
不動産登記法は出題数が最も多く、抑えるべき先例や規則などが膨大にあります。
司法書士試験の合格には、不動産登記法を8割近く覚えることが不可欠なため、過去問を解いてイメージを構築することが大切です。
商業登記法も具体的イメージを持つのが難しい科目ですが、問題演習を通じて知識の定着を図りましょう。
一番最後の難関が記述式問題2問です。
記述問題で必要なのは、落とし穴を見抜くことと、問題文を隅まで読み込んで出題者の意図にかなう解答をひねり出すことです。
試験前には、過去問をひたすら解き、問題形式に慣れておきましょう。
✔︎合格に必要な学習時間は約3,000時間
✔︎忙しい方には通信教材がおすすめ
✔︎科目ごと勉強方法に工夫が必要
司法書士試験の合格率は3%台で推移しており、合格率の低さから言っても、国内最難関レベルの国家試験と言えます。
司法書士試験は、年に1回の試験のため、しっかり対策をしてから望みましょう。
択一式試験には普通に取り組んでいれば合格できますが、時間的にその取り組みが難しい場合は通信教育を利用するのが得策です。
独学で学習する方は、司法書士に合格するための勉強法をぜひ参考にしてみてください。
「司法書士」に関してよくある質問を集めました。
司法書士試験の令和4年の合格率は、約5%となっています。平均しても毎年約4%のため、合格率のとても低い国家資格であることがわかります。行政書士の合格率と比べても、行政書士は約10%のため、合格が難しいことがわかります。詳しくは記事に記載しています。
司法書士試験に合格するための勉強法としては、過去問や演習問題をとにかく取り組むことが大切です。法律に関する細かい専門知識が問われるため、まずは問題形式になれ、各科目のポイントを抑えることが必要です。詳しくは記事に記載しています。