ピタゴラスの定理は、中学で最後に習う単元であるため、授業も急ぎ足になりがちです。
十分な勉強時間を確保できずに、理解不足のまま終わってしまった方も多いでしょう。
ピタゴラスの定理は、大学受験まで用いる必須の定理なので、深く理解する必要があります。
本記事では、ピタゴラスの定理の意味や定理の証明方法を解説するとともに、例題を紹介します。
ピタゴラスの定理に苦手意識のある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
ピタゴラスの定理とは、直角三角形における3辺の長さの関係を表したものです。
ピタゴラスの定理は、斜辺をcとしたときの直角三角形ABCを仮定した場合、下記の式によって表されます。
a2+b2=c2
つまり、直角三角形における斜辺の長さの2乗は、その他2辺の長さの2乗の和と等しいということです。
そのため、直角三角形の場合は、2辺の長さが分かれば、最後の1つの1辺の長さを求められるのです。
ピタゴラスの定理は、直角三角形の3辺の長さの関係を表したもの
a2+b2=c2の式で表される
その他2辺の長さの2乗の和と等しい
ピタゴラスの定理と三平方の定理の間に違いは無く、どちらも同じ定理のことを指します。
「ピタゴラス」とは、ピタゴラスの定理を発見した数学者の名前のことです。
ピタゴラスは紀元前の古代ギリシャの数学者で、その時代からピタゴラスの定理は様々な場面で活用されてきました。
ちなみに、ピタゴラスは数学における「証明」の概念を開発するなど、後の数学に大きな影響を及ぼしただけではなく、哲学者としても後世に影響を与えています。
一方で、「三平方の定理」における「平方」とは、2乗のことを表します。
ピタゴラスの定理では、3辺の平方によって成立する公式であるため、日本語では「三平方の定理」と呼ばれるようになりました。
また、「三平方の定理」という呼び方が定着したのは、第二次世界大戦ごろであり、敵国語を使わないようにした結果、定着したと考えられています。
ピタゴラスの定理と三平方の定理を違うものとして間違えて覚えてしまう方がいますが、どちらも同じ定理を示しているため、間違わないようにしましょう。
ピタゴラスの定理と三平方の定理の間に違いは無い
三平方の定理における平方は2乗のこと
三平方の定理という呼び方は、第二次世界大戦ごろに定着した
ここまで、ピタゴラスの定理の式について解説してきました。
ピタゴラスの定理の証明方法は、非常に多く、数百通り発見されているともされています。
そのことから、ピタゴラスの定理の証明を行う問題は、私立高校や、大学受験でも頻出問題となっています。
そのため、ピタゴラスの定理の証明方法をいくつか覚えておくと良いでしょう。
ここからは、代表的な下記の3つの証明方法を紹介します。
それぞれ順番に解説します。
ピタゴラスの定理は、2つの異なる大きさの正方形を用いることで、証明できます。
下記はその証明方法です。
下記の画像のように、ある正方形の中にもう1つ正方形がある図形を想定する。
大きな正方形の1辺の長さはa+bとし、小さな正方形の1辺の大きさはcとする。
この場合、大きな正方形の中にできる4つの三角形は、いずれも斜辺がcであり、その他2辺の長さがaとbの直角三角形である。
このとき、小さな正方形の1辺の長さはcであるため、小さな正方形の面積は下記の計算式によって求められる。
cc=c2
また、上記の青の部分と黄色の部分の場所を組み替えることで、下記のような正方形に変換が可能である。
当然ながら、前後の正方形の違いは、直角三角形や正方形の位置を組み替えたのみである。
そのため、前後で正方形の面積は変わらない。
その上で、黄色の部分の面積が変わっていないことを考慮すると、三平方の定理となる下記の式が成立する。
a2+b2=c2(証明終)
この証明方法は、その他の定理などを使う必要がないため、比較的簡単に証明可能です。
ピタゴラスの定理の証明方法として、最も代表的な方法なので、覚えておくと良いでしょう。
次に紹介するのは、直角三角形の中に内接円を描くことで、ピタゴラスの定理の証明を行う方法です。
上述した正方形を用いる方法よりも、説明も平易であり、特別な定理を使う必要も無いので、ぜひマスターしましょう。
下記は内接円を用いた証明方法です。
直角三角形ABCと、それに内接する円Oがあると仮定する。
また、直角三角形ABCは、∠C=90°であり、角A、B、Cに向かい合う辺を、それぞれ辺A、B、Cとする。
この時、直角三角形ABCの面積の求め方は2種類あるため、直角三角形ABCの面積をSとして、2種類の求め方で計算を行う。
(i)通常通り、底辺と高さを用いる計算の場合
直角三角形ABCにおいて、底辺がa、高さがbであるため、直角三角形ABCの面積Sは下記のように求められる。
S=12ab
(ii)内接円Oの中心と、直角三角形ABCのそれぞれの角を結ぶことでできる3つの三角形の和としてSを求める場合
三角形ABCと内接円Oの接点と、内接円Oの中心を結ぶ直線は、それぞれの接線の直角に交わる。
この時、接点と内接円Oの中心を結ぶ直線は、円Oの半径rとなる。
この場合、三角形ABCである面積Sは下記の式によって求められる。
S=12ar+12br+12cr
=12r(a+b+c)
(i)と(ii)より、下記の式が成立する
12ab=12r(a+b+c)
ab=r(a+b+c)・・・(iii)
ここで、内接円Oの半径であるrを直角三角形のそれぞれの辺の長さであるa、b、cで表す。
上記の図のようになるため、斜辺cは下記のように表される。
c=(a-r)+(b-r)
c=a+b-2r
上記の式を整理すると、下記のようになる。
r=a+b-c2・・・(iv)
(iv)を(iii)に代入すると
ab=a+b-c2(a+b+c)
2ab=(a+b-c)(a+b+c)
2ab=(a+b)2-c2
これを整理すると
a2+b2=c2(証明終)
内接円の知識があるだけで、ピタゴラスの定理の証明が可能であるため、非常に証明問題としても頻出です。
また、ピタゴラスの定理の証明だけではなく、この考え方を使った様々な応用問題も出題されるため、この証明方法も覚えておくことをおすすめします。
ピタゴラスの定理は、相似を活用することによって証明を行うことも可能です。
直角三角形を2等分することで生まれる、2つの相似な直角三角形を利用します。
下記は、相似を用いた証明です。
∠C=90°の直角三角形ABCを仮定する。
なお、角A、B、Cに向かい合う辺の長さを、それぞれa、b、cとする。
この直角三角形ABCにおいて、∠Cから、辺ABに向かって垂線AHを下ろす。
この時、△ABCと△ACHに注目する。
共通の角であるため、∠CAB=∠HAC・・・(i)
また、CHは、直線ABの垂線であるため、∠CHA=∠BCA=90°・・・(ii)
(i)、(ii)より、△ABC∽△ACH・・・(iii)
次に、△ABCと△CBHに注目する。
こちらも同様に△ABC∽△CBHであることが分かる・・・(iv)
(iii)と(iv)より、下記であることは明らかである。
△ABC∽△ACH∽△CBH
上記より、この3つの相似な三角形における相似比は、それぞれの斜辺を考えるとc:b:aとなる。
そのため、面積比は、c2:b2:a2である。
この3つの三角形の面積は、それぞれ正の数kを用いて、下記のように表される。
△ABC=kc2
△ACH=kb2
△CBH=ka2
また、△ABC=△ACH+△CBHであるため、下記が成立する。
kc2=kb2+ka2
上記の式を整理して
a2+b2=c2(証明終)
相似と相似比を用いることで、比較的容易にピタゴラスの定理を証明することが可能です。
相似を既に習っている必要があるものの、他の2つの証明とは違い、別の図形を用いたり、直角三角形の中に新たな図形を足したりする必要が無いため、計算も非常に楽です。
ピタゴラスの定理の証明を求められた際に、方法の制約が課されていない場合には、この方法を積極的に活用しましょう。
ピタゴラスの定理の代表的な証明方法は3つある
正方形、内接円、相似で求められる
ここまで、ピタゴラスの定理の証明について解説しました。
ここからは、ピタゴラスの定理を実際に応用して、活用する方法について解説します。
直角三角形の角度が分からない場合、ピタゴラスの定理では角度を求められませんが、高校の数学で習う三角関数によって、角度を求められます。
三角関数で角度を求める際の公式は2種類あり、それぞれ下記の通りです。
θ=tan-1ba
c=a2+b2
=acosθ
中学単元まででは、直角三角形の角度を求めることは難しいため、上記の公式を覚える必要はありません。
ただし、高校生になると、文系でも下の公式を利用する機会はあるため、高校生は覚えておくことをおすすめします。
ピタゴラスの定理を用いれば、他の2辺の長さが分かっていれば、容易に斜辺の長さを求められます。
たとえば、1辺が3、もう1辺が4の場合、ピタゴラスの定理に当てはめると、下記のように斜辺を求められます。
32+42=c2
上記の計算式を解くと、c=±5となります。
辺の長さが負の数になることはないので、斜辺cの長さが5であることが分かります。
また、斜辺に限らず、他の2辺の長さが分かっている場合はもう1辺の長さを求めることが可能です。
三角関数で角度を求められる
2辺の長さが分かれば斜辺を求められる
他2辺の長さが分かればもう1辺の長さも求められる
ピタゴラスの定理を満たす、3辺の大きさの組み合わせの中には、すべての数が整数となる組み合わせがあります。
この組み合わせの数を「ピタゴラス数」と呼ばれており、覚えておくべき組み合わせです。
代表的な2つの組み合わせと、直角二等辺三角形で用いられる、辺の比を紹介します。
代表的なピタゴラス数の組み合わせは、下記の2点です。
これらの組み合わせは、頻出なので必ず押さえておきましょう。
また、直角二等辺三角形の場合は、必ず辺の比が1:1:2になります。
こちらも併せて覚えておくと良いでしょう。
3:4:5の組み合わせを覚える
5:12:13の組み合わせも覚える
直角二等辺三角形の場合は必ず辺の比が1:1:2になる
最後にピタゴラスの定理を用いた応用問題をご紹介します。
応用問題とはいえ、ピタゴラスの定理の基礎が分かっていれば、答えられる問題なので、理解度を試す意図を持って、ぜひ挑戦してみてください。
斜辺が5cm、一方の辺の長さが3cmなので、未知の辺の長さをaとすると、ピタゴラスの定理より下記の式が成り立つ
a2+32=52
上記の式を計算すると、a=±4。
辺の長さは常に正の数であるため、未知の辺の長さは4cmである。
先述した数の組み合わせであるため、慣れていれば計算せずとも答えられます。
しかし、ピタゴラス数が問題で出題されるのは稀であるため、計算を行ってピタゴラスの定理に慣れておきましょう。
先述したように、直角二等辺三角形の辺の長さの比は、等しい2辺を1とした場合、下記の通りである。
1:1:2
よって、今回の未知の辺の長さをxとすると下記が成立する
x:4=1:2
上記を解いて、求める長さx=22
直角二等辺三角形の辺の長さの比は決まっているため、その比に当てはめて式を作ることが大切です。
ピタゴラス数とともに、必ず覚えておくべき内容なので、押さえておきましょう。
応用問題は基礎が分かっていれば答えられる
等しい2辺の場合は1:1:2になる
直角二等辺三角形の辺の長さの比は決まっている
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本記事では、ピタゴラスの定理の概要や証明方法を解説するとともに、例題をご紹介しました。
ピタゴラスの定理は、一見難しそうに感じられるものの、慣れてしまうと簡単に回答できます。
そのため、何度も問題を解くことで、慣れることが大切です。
また、高得点を狙う方は、証明方法なども覚えておくと良いでしょう。
ピタゴラスの定理に苦手意識のある方は、ぜひ本記事を参考に学び直してください。
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