今回は四分位範囲について説明していきます。
いきなり四分位範囲から説明するのではなく、四分位数から順番に説明するので、四分位範囲についての理解を深められます。
四分位範囲は中学で学ぶ内容ですが、大学入試にも出ることがあります。
例題も含めて説明しているので、解いていき基礎力を上げていきましょう。
まずは、四分位範囲の理解に必要な四分位数を学習していきましょう。
四分位数とはデータを小さい数字から並べたときにデータの個数で4等分したときの区切り値のことです。
四分位数には、小さい順に並べてときに中央の位置にくる値である第2四分位数、中央より下のデータの中央の位置にくる値である第1四分位数、中央より上のデータの中央にくる値である第3四分位数があることも覚えておきましょう。
それでは、例題を使いながら説明していきます。
四分位数から様々な集団の傾向を示す値を出すことができます。
求められる値の種類とその求め方について、例題も含めながら説明していきます。
ある範囲内で最も大きい値が最大値です。
反対に、ある範囲内で最も小さい値が最小値です。
電気屋を例に最小値と最大値について考えましょう。
ある電気屋に並ぶ電球は5つあり、左から1000円、500円、700円、1200円、800円となっています。
このとき、電気屋に並ぶ電球の中で最も値段が高い1200円が最大値になり、最も値段が低い500円が最小値となります。
中央値と平均値について例題を取り上げながら説明していきます。
中央値とはデータを小さい順に並べたときのデータの中央にある値です。
しかし、データの数が偶数の場合はちょうど真ん中にくる値がありません。
そのため偶数の場合は、中央に最も近い2つの値を中央値とします。
それでは、例題で中央値について考えてみましょう。
ある電気屋には多くの家電が置いてありますが、種類が多い家電もあれば少ない家電もあります。
ランダムに並んだ10種類の商品の数を集計すると次のようになります。
商品 | 商品の種類数 |
---|---|
テレビ | 3 |
電動自転車 | 1 |
カメラ | 10 |
プリンター | 6 |
携帯 | 0 |
エアコン | 7 |
冷蔵庫 | 2 |
パソコン | 12 |
掃除機 | 8 |
洗濯機 | 7 |
上のデータを小さい順に並べると下のようになります。
商品 | 商品の種類数 |
---|---|
携帯 | 0 |
電気自転車 | 1 |
冷蔵庫 | 2 |
テレビ | 3 |
プリンター | 6 |
エアコン | 7 |
洗濯機 | 7 |
掃除機 | 8 |
カメラ | 10 |
パソコン | 12 |
このデータからはデータの数が偶数なことが分かるので、中央に最も近い2つの値の平均値を中央値とします。
中央に最も近いのは6と7で、その平均値(6+7)÷2=6.5である6.5が中央値です。
また、平均値とは全てのデータを足してデータの数で割って出した平均の値です。
電気屋を例に平均値について考えてみましょう。
電球の値段は左から1000円、500円、700円、1200円、800円です。
このとき、すべてのデータを足した1000+500+700+1200+800=4200をデータの数である5で割った4200÷5=840が平均値です。
ここでは、四分位数について詳しく説明していきます。
四分位数とはデータを小さい順に並べたときに、データの個数で4等分した区切り値です。
データを4等分すると25%、50%、75%の3つの区切り値を得られ、それらは小さい方から第1四分位数、第2四分位数(これは中央値と同様)、第3四分位数といいます。
ここでは、奇数の四分位数について説明してから、偶数の四分位数について例題を交えて説明していきます。
まず、奇数の四分位数の求め方を例題から理解していきましょう。
ピアノの発表会があり、11人が発表することになっています。
それぞれの発表曲の時間から四分位数を求めてみましょう。
解き方の順序は下記の通りです。
データの数は全部で11個なので、小さい順に並べ替えたときの6番目の値がちょうど真ん中になります。
そのため、「3.8」が中央値になります。
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 | 3.8 | 4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.7 | 5.5 |
中央値を基点として、中央値より小さい値の集団と大きい値の集団に分けます。
中央の6番目の値はどちらかの集団に分けることができないため、中央値を除いて2つのグループに分けます。
小さい値の集団 | ||||
---|---|---|---|---|
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 |
大きい値の集団 | ||||
---|---|---|---|---|
4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.7 | 5.5 |
データは全部で5個あるので、3番目の値である「3.0」が中央値になります。
小さい方の集団の中央値は、第一四分位数といいます。
小さい値の集団 | ||||
---|---|---|---|---|
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 |
データの数は5個なので、3番目の値である「4.2」が中央値になります。
大きい方の集団の中央値は、第三四分位数といいます。
大きい値の集団 | ||||
---|---|---|---|---|
4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.7 | 5.5 |
上記の方法で、第一四分位数は3.0、第二四分位数3.8、第三四分位数4.2と求められます。
では、偶数個の四分位数はどのように求めるのでしょうか。
発表会の途中で12人目が飛び入り参加することになったとしましょう。
12人目の発表曲の時間は4.6分です。
12個のデータを使用して四分位数を求めるとどうなるのか求め直してみます。
解き方の順序は下記の通りです。
データの数は全部で12個なので、小さい順に並べたときの6・7番目の値の平均値が中央値になります。
したがって(3.8 + 4.0)÷2=3.9です。
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 | 3.8 | 4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.6 | 4.7 | 5.5 |
小さい値の集団と大きい値の集団に分けます。
データの数は偶数の12個なので、6番目の値は小さい値の集団に、7番目の値は大きい値の集団に分けられます。
そのため、2つの集団には6個ずつのデータが含まれます。
小さい値の集団 | |||||
---|---|---|---|---|---|
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 | 3.8 |
大きい値の集団 | |||||
---|---|---|---|---|---|
4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.6 | 4.7 | 5.5 |
データの数は全部で6個なので、3番目の値と4番目の値の平均値が中央値になります。
そのため、(3.0+3.4)÷2=3.2となり、3.2が中央値となります。
小さい方の集団の中央値は、第一四分位数といいます。
小さい値の集団 | |||||
---|---|---|---|---|---|
2.2 | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.5 | 3.8 |
データの数は6個なので、3番目の値と4番目の値の平均値が中央値になります。
そのため、(4.2+4.6)÷2=4.4となり、4.4が中央値となります。
小さい方の集団の中央値は、第三四分位数といいます。
大きい値の集団 | |||||
---|---|---|---|---|---|
4.0 | 4.2 | 4.2 | 4.6 | 4.7 | 5.5 |
上記の方法で、第一四分位数は3.2、第二四分位数3.9、第三四分位数4.4と求められます。
このように、偶数個の四分位数を出すことができます。
奇数個・偶数個の四分位数の求め方を覚えておきましょう。
ここでは、求めた四分位数から「箱ひげ図」を書く方法を説明します。
箱ひげ図とはデータの分布を「箱」と「ひげ」で表した図のことで、データの分布の様子をざっくりと把握できます。
それでは、例題を確認していきましょう。
電気屋の家電の在庫数はそれぞれ下記のようになっています。
家電 | 在庫数(個) |
---|---|
テレビ | 2800 |
電動自転車 | 1500 |
カメラ | 500 |
プリンター | 200 |
携帯 | 300 |
エアコン | 450 |
冷蔵庫 | 150 |
パソコン | 1200 |
掃除機 | 800 |
洗濯機 | 1000 |
データから四分位数を求めると、第一四分位数が300、第二四分位数が650、第三四分位数が1200となりました。
このデータを使用して「箱ひげ図」を書いていきます。
最初に、箱ひげ図の箱を書きます。
箱の下端は第一四分位数、箱の上端は第三四分位数、箱の真ん中の腺は第二四分位数を表すように書きます。
次に、箱の上と下にひげを書きます。
箱の高さの1.5倍以下の範囲にあるデータの中で、最も大きいデータを箱の上に線をひげとして書き、最も小さいデータを箱の下に線をひげとして書きます。
今回の場合、箱の高さは上端から下端を引いて1200ー300=900となります。
そのため、上端の1200から900×1.5を足した2550が箱の上端から1.5倍の範囲内となり、下端の300から900×1.5を引いた-1050が箱の下端から1.5倍の範囲内となります。
箱の上端から1.5倍の範囲内で最も大きいデータは1500であるので、1500にひげを書きます。
また、箱の下端から1.5倍の範囲内で最も小さいデータは150となるので、150にひげを書きます。
最後に、外れ値を書きます。
箱の高さの1.5倍を箱の上下の範囲としたとき、そこから外れたデータを外れ値として、〇や×で表します。
今回は、テレビの在庫数2800が外れ値となります。
このような手順で箱ひげ図を書くことができます。
データの分布の様子を視覚的に理解することができるので頭に入れておきましょう。
✔四分位数には第一四分位数、第二四分位数、第三四分位数がある
✔中央値の求め方はデータが奇数個が偶数個かで異なる
✔箱ひげ図は分布の様子を理解するために使用する
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おすすめ家庭教師第三四分位から第一四分位を引いた値が四分位範囲です。
データの中央部分50%の範囲のことを指していて、データのばらつきを表すことができます。
四分位範囲が大きいほどデータのばらつきが大きくなり、小さいほどデータが集中していると言えます。
四分位範囲はデータのばらつきを比較したいときに使われています。
例えば、ある温泉Aと温泉Bに訪れた人の年齢を低い順に並べたものが下記のようになります。
温泉A | 52 60 64(第1四分位数) 64 67 68(第2四分位数) 72 74 78(第3四分位数) 82 90 |
---|---|
温泉B | 48 56 5(第1四分位数) 62 64 70(第2四分位数) 74 76 86(第3四分位数) 88 90 |
データから四分位範囲を求めてみます。
四分位範囲は第3四分位数から第1四分位数を引くことで求めることができるので、温泉Aの四分位範囲は78ー64=14、温泉Bの四分位範囲は86ー58=28となります。
この結果から、温泉Aと温泉Bを比較したとき温泉Bの四分位範囲の方が大きいので、温泉Aに訪れる人の年齢より、温泉Bに訪れる人の年齢の方がばらつきが大きいことが読み取れます。
✔四分位範囲でデータのばらつきを表せる
✔第3四分位数ー第1四分位数で四分位範囲が求まる
✔四分位範囲はばらつきを比較するときに活用される
ここでは、四分位偏差について説明していきます。
四分位偏差とは四分位範囲を二等分にした値で、データのばらつきを示すことができます。
四分位範囲でもデータのばらつきを表すことができるのですが、2等分して四分位偏差とするのは、中央値から第1四分位・第3四分位までの距離を知るためです。
四分位範囲だと第3四分位から第1四分位の範囲を表しますが、2等分して四分位偏差にすることで、中央値と第1四分位、中央値と第3四分位の距離の平均を求めることができます。
中央値からの平均的な距離を把握することができるのが四分位偏差です。
✔四分位偏差は四分位範囲÷2
✔四分位範囲でデータのばらつきを示せる
✔中央値からの平均的な距離を把握できるのが四分位範囲
ここでは、四分位範囲を使った例題を解いていきます。
箱ひげ図や四分位範囲を理解した上で例題に取り組むと理解を深めることができます。
四分位範囲の復習をしてから例題を解いてみましょう。
例題として、数字が7つ並んでいる「1, 9, 7, 2, 5, 4, 3」の四分位範囲を求めます。
まず、四分位数を求めるためにデータを小さい順に並べます。
小さい順に並べると、「1, 2, 3, 4, 5, 7, 9 」になります。
次に、中央値を基点に小さい値の集団と大きい値の集団の二つに分けて、小さい値の集団と大きい値の集団、それぞれの中央値を求めます。
小さい値の中央値は第2四分位数、大きい値の中央値は第4四分位数になります。
小さい値の集団「1,2,3」の中央値は「2」、大きい値の集団「5,7,9」の中央値は「7」なので、第1四分位数は「2」・第3四分位数は「7」であることが分かります。
四分位範囲は第3四分位数から第1四分位数を引いたものなので、「7ー2=5」となり、「5」が答えになります。
ここでは、箱ひげの問題を解いていきます。
下記の箱ひげ図を見てAとBの四分位範囲をそれぞれ求めてみましょう。
第1四分位は箱の左端の線、第3四分位は箱の右端の線を読み取ることで求められます。
このことを念頭に置いて箱ひげ図を読み取ると、Aの第1四分位は「3」、第3四分位は「6」となります。
四分位範囲は第3四分位から第1四分位を引いたものでAの四分位範囲は「6ー3=3」となり、「3」が答えとなります。
同様にBの第1四分位は「4」、第3四分位は「8」となります。
Bの四分位範囲は「8ー4=4」となり「4」が答えです。
✔四分位範囲を求めるには第1四分位数と第3四分位数を知る必要がある
✔中央値を求めることは四分位範囲を出すために必要不可欠
✔箱ひげ図から四分位範囲を求められる
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学年別コース | |
---|---|
小学生向け | 中学受験対策コース |
中学生向け | 高校受験対策コース |
高校生向け | 大学受験対策コース |
目的別コース | |
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英検合格コース | 中高一貫専門コース |
医学部合格コース | 難関大合格コース |
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小学生向け | 小学生コース |
中学生向け | 中学生コース |
高校生向け | 高校生コース |
目的別コース | |
---|---|
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料金形態は下記の表の通りです。
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料金 | |
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幼児コース(あるふぁるふぁ) | 9,900円~ |
小学生コース | 8,800円~ |
中学受験コース | 11,440円~ |
中学生コース | 8,800円~ |
高校生コース | 13,640円~ |
中高一貫校生コース | 11,440円~ |
※全て税込み価格
今回は四分位範囲について解説しました。
四分位範囲は四分位数を理解することで解くことができます。
四分位数についての理解も深めておきましょう。
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「四分位範囲」に関してよくある質問を集めました。
四分位範囲はデータのばらつきを表したいときに使われます。四分位範囲が大きいほどデータのばらつきは大きく、小さいほどばらつきは小さいことが分かります。四分位範囲の求め方や具体的な使い方について詳しく解説しているのでこちらをご覧ください。
中学の数学では四分位範囲を求める方法や箱ひげ図について学習します。四分位範囲を求めるには、四分位数の理解が必要不可欠です。四分位数や箱ひで図についても説明しているので、詳しくはこちらを参考にしてください。こちらをご覧ください。