国内でも最難関レベルの大学である京都大学は、化学の試験でも特徴的な問題が出題されます。
知識・計算力などが求められるのに加え、京大の化学では深い思考力と読解力がカギになります。
京都大学が公開している出題方針を見ると「無機物質,有機化合物,高分子化合物などの個々の性質や反応についての知識を単に蓄積するのではなく,それらに基づいて論理的に思考できること」が重要です。
本記事では、京都大学の化学の傾向や対策・おすすめの勉強法を詳細に紹介したいと思います。
■まとめ
京都大学の入試試験は、大学入学共通テストで京大の合格点に達し、二次試験でも合格点を取ることが必要となります。
化学は理科の選択科目として位置づけられ、京都大学の理系学部の入試で利用することができます。
試験日 | 教科 |
---|---|
2024年1月13日(土) | 地理歴史公民・国語・外国語(英・独・仏・中・韓) |
2024年1月14日(日) | 理科・数学 |
大学入学共通テストは、2021年度から開始されたセンター試験に代わる大学入試試験です。
センター試験と同じく、毎年1月の中旬に行われ、2024年度は1月13日・14日に行われます。
試験日 | 教科 |
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2024年2月25日(日) | 国語・数学 |
2024年2月26日(月) | 外国語・地理歴史・理科 |
※27日(火)は医学部医学科の面接のみ実施
二次試験は毎年2月25日・26日・27日に行われ、国立大学の入試はすべてこの日に行われます。
「化学」は大学合格共通テストが1月14日(土)、二次試験は2月26日(月)となっています。
学部名 | 共通テスト | 二次試験 | |
---|---|---|---|
総合人間学部 | 文系 | 100(2科目:基礎教科) | × |
理系 | ※ | 2科目で200 | |
文学部 | 100(2科目:基礎教科) | × | |
教育学部 | 文系 | 50(2科目:基礎教科) | × |
理系 | 50(2科目) | 100 | |
法学部 | 100(2科目:基礎科目) | × | |
経済学部 | 文系 | 50(2科目:基礎教科) | × |
理系 | 50(1科目) | × | |
理学部 | 50(2科目) | 300(2科目) | |
医学部 | 医学科 | 50(2科目) | 300(2科目) |
人間健康科学科 | 50(2科目) | 200(2科目) | |
薬学部 | 50(3科目) | 200(2科目) | |
工学部 | ※ | 250 | |
農学部 | 50(2科目) | 200(2科目) |
※他の教科と合わせて第1段階選抜のための得点対象としますが二次試験等の得点対象としません。
基礎科目2科目と記載のある文系学科は、化学基礎や物理基礎で受験が可能です。
京都大学の化学の出題範囲は、「化学基礎」と「化学」を合わせた全範囲から出題されます。
分野としては、理論化学・無機化学・有機化学(特に高分子)から満遍なく出題されます。
ある程度頻出分野や頻出テーマはありますが、広い知識が必要です。
ここでは、過去の二次試験化学の試験構成を見ていきましょう。
大問 | 大問構成 | 設問形式 |
---|---|---|
1問 | 理論化学・無機化学分野 | 記述・選択 |
2問 | 理論化学分野 | 記述・選択 |
3問 | 有機化学分野 | 記述・計算 |
4問 | 有機化学分野 | 記述・論述 |
京大化学は、100点満点の大問4つで構成される試験です。
長いリード文の穴埋めから大問が始まり、リード文を誘導として回答する問題が後に続く穴埋め方式の問題が多く出題されますが、40字程度の論述問題も出題された年もありました。
学部 | 共通テスト得点率 | 偏差値 |
---|---|---|
総合人間科学部 | 88~91% | 65.0~67.5% |
文学部 | 84% | 67.5% |
教育学部 | 84~85% | 67.5% |
法学部 | 83~87% | 65.0~67.5% |
経済学部 | 83~84% | 65.0~67.5% |
理学部 | 83% | 65% |
医学部 | 78~88% | 62.5~72.5% |
薬学部 | 83% | 65% |
工学部 | 82~85% | 62.5~67.5% |
農学部 | 82~83% | 62.5~65.5% |
京都大学は共通テスト得点率78%~91%、偏差値62.5~72.5%と難易度の高い大学です。
理系学部は文系学部よりも学科によっての偏差値の差が大きいので、自分の志望する学科も調べてみると良いでしょう。
✔化学の入試は1月16日と2月26日
✔出題範囲は全範囲
✔難易度は国内最高レベル
近年では問題文が長く、その問題文を読み解く読解力・深い思考力が必要とされる問題が増えました。
また、近年では無機化学の分野の出題はほとんどなく、
計算問題や論述問題も出題されることがあるので、しっかり対策しておくことが必要です。
例年、大問の1・2は理論化学と無機化学からの出題となっています。
直近2018年~2022年度は、無機化学の知識を問う問題はほぼありません。
昨年の大問1・2の出題分野・出題テーマは以下の通りです。
●大問1
<理論・(無機)>電気分解,酸化還元滴定,電離平衡
●大問2
<理論>熱化学,電離平衡
大問1はやや易化し、基礎知識を問われました。
それに対し大問2は難化し、熱化学と化学平衡を融合した問題が出題されました。
昨年では有機化学のみの出題でした。
京大化学の受験にあたり、有機化学は得点源にしなくてはならない分野です。
有機化学の出題は以下の通りです。
●大問3
<有機>(a) 芳香族化合物の構造決定
(b) バニリンの合成
●大問4
<有機>(a) アスパルテームの構造決定
(b) ペプチド分析
有機化学の頻出する内容としては、ヒドロキシ酸の重合/アセトアルデヒドの合成/二重結合の切断/オゾン分解/エステルの加水分解を用いた構造決定などがあります。
高分子の頻出テーマは糖・アミノ酸・ペプチドの推定/環状ペプチド/アルキルグリコシド/天然有機物の酵素による分解などです。
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✔毎年少しずつ出題テーマが変化している
✔理論化学の出題が多い
✔高分子の出題量が減少している
理論化学の対策ではまず、基礎的な内容を定着させましょう。
頻出分野は手厚く、他の分野も基礎的な内容はもれなくカバーできているのが理想です。
基礎が定着してきたと思ったら、過去問に取り組みましょう。
特に理論化学では、分からなかった問題は正解不正解を確認するだけでなく「なぜこの回答になったか?」がわかるまで考えることが大切です。
京大化学で得点するには、基礎知識を元に考え問題に回答できる思考力を身につけなければなりません。
近年出題が少ないですが、大問1・2の中で無機化学の知識を活用して解く問題が出題されます。
出題頻度・比重ともに少なめとはいえ、過去問を通じて頻出分野の傾向を掴んだ上で基礎的な知識はしっかり抑えておきましょう。
教科書内の図表一部にしか載っていないような知識を問われることもあるので、万全を期すのであれば教科書欄外も含めて確認しておきたいです。
高分子も含めて有機化学は得点の半分を占めるため、知識に抜けのないよう特に力を入れて学習しておきましょう。
基礎的な内容はもちろん、高いレベルの知識を問われる問題も多いです。
その上で、過去問を通じて京大独自の問題形式に対応する練習が必要です。
京大化学の有機分野では、実験中の状況を想定して答えていく問題が出題されることが多いです。
長めのリード文は読解するには骨が折れますが、文章中に散りばめられたヒントを見逃さず活用して回答することが求められます。
高分子についても傾向で挙げた頻出範囲を中心に基礎的な知識を固めた上で、過去問に取り組むのが一番の対策です。
過去問を複数年分解くことで問題の傾向を掴むことができ、京大対策としてさらに補強すべき知識も見えてきます。
基礎固めにあたっては、特に天然有機化合物の知識に穴が無くなるよう力を入れて取り組みましょう。
✔基礎基本を身につけることが大切
✔過去問に取り組むことが大切
✔傾向をつかみ、傾向を読んで勉強することが大切
不可能ではありませんが、合格者の多数は予備校や塾、家庭教師を活用して合格への学習を進めるほうが良いと考えられます。
参考書を使い京都大学へ合格する学力をつけるのは非常に難しいと考えられます。
何故なら、参考書のみで学習するのは時間がかかるのに加え、できなかった問題の解説が充実していない場合、わからないまま終わってしまうということが考えられるからです。
塾や家庭教師なら講師に質問をすることで、理解までの時間を短縮することができ、問題演習を繰り返すことで定着をさせることができます。
塾や家庭教師を活用せず、一人で学習することはモチベーションを維持することが困難です。
入試までの時間は長く、特に夏季や冬季など他の受験生が一気に学力を伸ばす時期にモチベーションを維持できず、差をつけられてしまうことも考えられます。
だからといって独学で京都大学へ合格するのは不可能というわけではありません。
今回は、独学で京都大学へ合格したい方へオススメの参考書を紹介していきます。
岡野の化学が初歩からしっかり身につく 「理論化学(1)」 | |
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価格(税込) | 1,188円 |
出版社 | 技術評論社 |
化学の基礎をしっかりと理解しながら学習するためには、講義形式の参考書がまずはおすすめです。
特に本書は問題も交えての丁寧な解説が特徴で、知識を応用しながら覚えられる京大向けの講義形式参考書です。
理系大学受験 化学の新演習 | |
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価格(税込) | 2,860円 |
出版社 | 三省堂 |
教科書本文の一字一句を徹底的に詳しく研究・解説しており、辞書的に使える参考書です。
過去問を解いていて理解できない内容が出た時に非常に役立ちます。
同じシリーズの「化学の新演習」という問題集と同時に利用するとさらに効果的な学習を行うことができます。
2022 化学重要問題集 化学基礎・化学 | |
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価格(税込) | 880円 |
出版社 | 数研出版 |
大学入試の最新の重要問題が詰まった問題集です。
各分野ごと、基礎知識を用いる問題→標準的な知識を用いる問題→応用問題という順番で記載されているので、短期間で理解しながら学習することができます。
解答が別冊でついており、重要事項がわかりやすく記載されています。
入試攻略問題集 京都大学 | ||
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価格(税込) | 1,980円 | |
出版社 | 河合出版 |
京大大学のオープン模試の問題を4回分収録した問題集です。
過去問よりも解説が詳しいため、過去問に入る前に取り組むことでスムーズに対策を進められます。
京都大学に特化した対策を行うのならば、解いておきたい一冊です。
京大の化学 27カ年 | |
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価格(税込) | 2,530円 |
出版社 | 教学社 |
京都大学の1994年~2020年度の化学の入試問題を掲載した赤本です。
京都大学の化学は、最難関の問題が出題されるため、過去問で問題傾向に慣れる必要があります。
27年分収録されているので、この一冊で化学の対策は万全です。
✔独学で京都大学合格は困難
✔参考書を完璧にすることが大切
現論会の基本情報 | |
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対象年齢 | 高校生・浪人生 |
対象地域 | 東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・京都・オンライン |
指導形式 | 個別指導 |
特徴 | 全科目を定額で指導してくれる難関大受験専門塾 |
現論会は、凄腕のコーチが合格に導く、首都圏を中心に展開する
現論会は難関大受験専門の学習塾のため、難関大学ごとのコースがあります。
「京大コース」では、京大の入試に詳しい講師が京大の傾向や特徴に沿った授業を行ってくれます。
個別指導のため、理解できるまできちんと指導してもらうことができるので、深い思考力が必要になる京大の化学対策にぴったりです。
現論会では、まず、生徒の学力と志望校合格に必要な学力を比較し、やるべき学習を詰め込んだ年間計画を作成します。
週一回の授業でそのカリキュラムを進めていき、もしつまずいてしまった場合にはカリキュラムを修正・改善していきます。
現論会では、300冊以上の参考書を研究・分析しており、生徒の学力に合った参考書を提案してくれます。
また、現論会の講師は難関大学受験を勝ち抜いてきているので、モチベーションの保ち方や効果のあった勉強法を教えてくれます。
現論会の強み
・京大の入試に精通した講師が指導してくれる
・生徒一人一人に合わせたカリキュラムを提案してくれる
・生徒に合った勉強法を指導してくれる
家庭教師のトライの基本情報 | |
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対象年齢 | 小学生・中学生・高校生・浪人生 |
対象地域 | 全国 |
指導形式 | マンツーマン指導 |
特徴 | トライ独自の手法で指導を行う大手家庭教師 |
家庭教師のトライでは、生徒一人ひとりの現在の学習状況・理解度に合わせた
家庭教師のトライでは120万人の指導実績を基にした膨大な指導データや全国の受験・学習情報を集約しています。
「京大対策コース」では京大合格者を多数輩出した京大受験専門のプロ講が「オーダーメイドカリキュラム」で指導していきます。
完全マンツーマンなので、不明点も解消でき効率よく学習が進められます。
知識を深めるだけでなく、史料を読み解く力や論理的な文章を書くためにはマンツーマンでの学習が効果的です。
家庭教師のトライでは体系的な日本史の学習指導から論文・史料問題対策まで個別の対策が可能です。
記述力を高め、初見問題に対応する力を身に付けましょう。
家庭教師のトライでは、膨大な過去問のデータを基にしたオリジナルの京大予想問題で演習を行います。
時間配分に注意しながら予想問題演習を解き本番に備えることができます。
京大生が丁寧に添削指導を行ってくれるので実践力が高まります。
家庭教師のトライの強み
・完全マンツーマン指導で分かるまで指導してもらえる
・学力と理解度に合わせた個別カリキュラムの下で勉強できる
・生徒にとって最適な講師のもとで目標に向かって勉強できる。
まず、京大化学の試験傾向で特徴的なのは長いリード文からはじまる思考力を要求する問題です。
高校化学の基礎を応用して解ける範囲ですが、難易度は非常に高いです。
合格を目指すなら、基礎学力をしっかりと身に付けるのがまずは対策の第一歩です。
本格的な京大の化学試験対策には、過去問で京大の問題傾向に慣れ、難しい問題にも対応する力をつけるのがおすすめです。
「京都大学 化学」に関してよくある質問を集めました。
京都大学の化学は、大問が4つ出題され、大問1・2は理論化学、大問3・4は有機化学の問題が出題されます。理論化学では特に化学平衡と構造決定が頻出のテーマとなっており、有機化学ではヒドロキシ酸の重合/アセトアルデヒドの合成/二重結合の切断/オゾン分解/エステルの加水分解を用いた構造決定などが出題されています。詳しくは記事に記載しています。
京都大学の化学の対策法としては、まずは基礎を定着させることが大切です。昨年度の入試問題でも大問1では基礎的な問題が出題されました。また、京都大学では特殊な問題や計算問題・論述問題が出題されることもあるので、過去問を何度も繰り返し解いておくことが大切です。