漸化式の応用の一般項を解く方法!複雑な数列と解き方を徹底解説
ここでは、漸化式の応用について解説します。
紹介する問題は、
それぞれ、解き方の順序があります。
今回は、漸化式や数列の基本的な公式に立ち返りつつ、応用問題の解法を細かく解説するため、数列の内容の総合的な理解力が求められます。
もし、今回の範囲がどうしてもわからない場合は、数列の基本についての記事を復習し、基礎を理解し直しましょう。
おすすめの問題集や学習塾も併せて紹介しているので、ぜひ、数学の勉強の参考にしてください。
右辺が分数かつ分子の項が1つのパターン
今回も、前回と同様に難しい漸化式の問題を解説しましょう。
前回勉強したとおり、難しい漸化式は初手をどうするかによって、解けるかどうかが決まります。
漸化式と一口に言っても、さまざまな種類がありました。
どのタイプに該当するかを見極めて、それに対する初手を覚えれば問題が解けるようになります。
ここで紹介する難しい漸化式はこちらです。
問題)a1=1/5 an+1=an/3an+2(n=1,2,3・・・)で定められた数列{an}の一般項を求めよ。
現段階でわかることは数列{an}の初項が1/5で、左辺が変わらず「an+1」と記されている点です。
しかし、右辺はan/3an+2と分数になっています。
分数の漸化式の求め方も何通りかありますが、このように右辺が分数で分子は項が1つであるパターンの解き方を見ていきましょう。
両辺の逆数をとる
問題を見てみると、分子には「an」が置かれています。
この場合まずは両辺の逆数をとることが大切です。
逆数とは、例えば「2」であれば「1/2」、「2/3」であれば「3/2」と分子および分母の入れ替えを指します。
では、an+1=an/3an+2の漸化式の両辺をそれぞれ分子と分母を入れ替えてみましょう。
すると、「1/an+1=(3an+2)/an」と式が作られるはずです。
ここで、右辺の「(3an+2)/an」を少し変形します。
「(3an+2)/an」は、「3an/an+2/an」と書き換えることが可能です。
3an/anは分子と分母ともに「an」があるため約分します。
結果、整数3と形を変えることができました。
最終的に「1/an+1=2/an+3」とまとめられます。
-
ここで、重要なポイントは初手をとったあとは、必ず他の数列に置き換えることです。
この作業をするだけで、後々の計算が極めて楽になります。
1/anをbnと置き換えて計算する
前回も、数列{an}の文字数anの項を「bn」に置き換えて計算しました。
今回も、全く同じ方法で漸化式を求めていきます。
この問題におけるanの項は「1/an+1=2/an」です。
つまり、「bn=1/an」に置き換えて計算を進めます。
まず、「bn+1=」の形に直した式が「bn+1=2bn+3」です。
念のため、それぞれを細かく確認しましょう。
「1/an」はすべて「bn」と同じ意味を指すため、「1/an+1=2/an+3」の左辺はそのまま「bn」と置きます。
右辺の「2/an」は、考え方を変えると「2×1/an」です。
そのため、「2bn」とまとめられます。
落ち着いて計算すれば、考え方自体はそこまで難しくないはずです。
また、数列{an}の初項a1の値は「1/5」でした。
「bn=1/an」であるため、b1の初項を求めるときはa1の逆数をとります。
要するに、「b1=1/a1=5」です。
ここまで計算すると、前回と同じ「an+1=pan+q」の漸化式になることが分かります。
bnとbn+1の値を「X」に置き換え、1次方程式を解くだけで簡単に解を導き出せます。
1/anをbnで表した式は、「bn+1=2bn+3」でした。
ここからさらにbnとbn+1の値を「x」に変えると、「X=2X+3」となります。
方程式を計算して求めた解は「X=-3」です。
あとは、算出した「-3」をそれぞれの「X」に代入します。
それを「bn+1=2bn+3」の式と引き算するだけです。
左辺は「bn+1-(-3)」、右辺は「2bn+3-(-3)」となります。
各々を計算すると、「bn+1+3=2bn+6」と式を作ることができました。
ちなみに右辺の「2bn+6」は因数分解して、「2(bn+3)」と表記したほうが望ましいです。
bn+3をCnと置き換えて計算する
「bn」の形に直した漸化式は、「bn+1+3=2(bn+3)」でした。
つづいて、「bn+3」を異なる文字数に変えて計算し直します。
前回と同様に「bn+3=cn」と仮定して計算を進めましょう。
すると、「cn+1=2cn」と新たに式が完成します。
「cn+1=2cn」は、基本数列の漸化式です。
この式を見れば、公比2の等比数列であることがわかります。
初項の求め方は、「c1=b1+3」を解くだけです。
「b1」は先程「5」と計算しました。
したがって、「c1=b1+3」の式に代入すれば「c1=5+3」となり、初項が「8」と求められます。
これで、初項と公比の値を算出できました。
あとは、等比数列の公式である「cn=c1・rn-1」に当てはめて一般項を出します。
結果、「cn=8・2n-1」と求められました。
cnは「bn+3」とイコールでした。
つまり、bnの値はcnから3を引けば導き出せます。
そのため、「bn=8・2n-1-3」です。
最後に、問題文の目的でもあった「an」の一般項を求めましょう。
難しい計算は必要ありません。
「bn」の値は、「an」の逆数と同じでした。
「1/an=bn」となるため、「bn=8・2n-1-3」を逆数にして表記します。
つまり「an=1/(8・2n-1-3)」と一般項が出せるはずです。
さらに、「8・2n-1-3」を指数法則でまとめます。
「8」は「23」とも表記可能です。
この形にすれば「2n-1-3」にまとめられるため、よりすっきりした答えになります。
「23・2n-1」を計算すると、「2n+2」です。
整理した結果、数列{an}の一般項は「an=1/(2n+2-3)」となりました。
CHECK
- 初手をどのように計算するかを重視する
- 両辺の逆数をとる
- bnやcnなどと置き換えながら計算をしやすくする
定数項が式になっているパターン
つづいて、前題とはまた違ったパターンについて紹介しましょう。
ここで、出されている問題は以下のとおりです。
問題)a1=5,an+1=2an-3n+4(n=1,2,3・・・)で定められた数列{an}の一般項を求めよ。
先程と同じく、まずは漸化式の特徴をしっかりと掴みます。
左辺については、特に前問と大きな違いはありません。
しかし、右辺をみてみると「2an-3n+4」と定数項が式になっています。
では、この場合はどのように初手をとればいいのでしょうか。
この問題も、漸化式のパターンとしてすでに解き方が定められています。
-
右辺が定数項ではなく、nを使った式になっている場合は、初手として「nをn+1に置き換えた式」を作ります。
実際に、計算しながら解き方を押さえましょう。
n+1をnに置き換えた式を作る
この問題において、「nをn+1に置き換えた式」は次のように作ることができます。
元々の問題にあった漸化式は、「an+1=2an-3n+4」でした。
こちらの式で「nをn+1に置き換えた式」へ直します。
つまり、それぞれの項にnを加えればいいだけです。
すると、式は「an+2=2an+1-3(n+1)+4」となります。
定数項nを消すために、今作った式から元々の式を引き算してみましょう。
作られる式は「an+2-an+1=2an+1-3(n+1)+4-(2an-3n+4)」です。
計算した結果、「an+2-an+1=2(an+1-an)-3」と求めることができました。
ここからの計算は前回の話や先ほど解いた問題と大きな違いはありません。
計算しづらい部分をある文字に置き換え、整理しながら一般項を出しましょう。
この問題では、右辺の(an+1-an)を「bn」と仮定して解き進めます。
bn=an+1-anの式をおいて計算する
「an+2-an+1=2(an+1-an)-3」の「(an+1-an)」を「bn」に直してみましょう。
まずは「bn+1=2bn-3」と式を作り変えられるはずです。
左辺がわかりづらいかもしれませんが、「an+2-an+1」は「an+1-an」のnをそれぞれ+1したものです。
そのため、「an+2-an+1」を「bn+1」に置き換えましょう。
この形に直せば、漸化式の計算でおなじみの「an+1=pan+q」の形に直せます。
こうした一連の計算は、漸化式のよくあるパターンへ落とし込むためのプロセスです。
あとは、「bn+1」と「bn」をそれぞれ「X」と違う文字に直します。
こちらも、先ほどの問題と解き方は全く変わりません。
「bn+1=2bn-3」が作り直した式であるため、「X」に置き換えると「X=2X-3」の一次方程式が完成します。
「X」の値は「3」です。
これを「bn+1=2bn-3」の左辺と右辺に引き算します。
すると、「bn+1-3=2bn-3-3」と表せるはずです。
右辺は「2bn-6」となり「2(bn-3)」と整理できます。
最終的に、「bn+1-3=2(bn-3)」とまとめることができました。
あとは、先ほどの問題と同様に「2(bn-3)」の式をさらに置き換えて解いていくだけです。
問題を繰り返し、一連の作業がスムーズにできるよう練習しましょう。
cn=bn-3とおいて計算する
「bn+1-3=2(bn-3)」において、「(bn-3)」を「cn」と仮定して計算を続けます。
式を整理すると、「cn+1=2cn」となりました。
まずは、数列{cn}の初項と公比を求めていかなければなりません。
とはいえ、こちらも基本的な考え方は前述の問題と全く同じです。
定数項がない数列{cn}は、等比数列だと見ただけで判断できます。
あとは、等比数列の一般項を求めるため、「cn=c1・rn-1」の公式を上手く使うだけです。
まず、公比については係数を見ればすぐにわかります。
「cn+1=2cn」とあることから、公比は「2」です。
つづいて、初項も解き進めていきましょう。
cnは「bn-3」を置き換えたものです。
つまり、「c1=b1-3」と初項を求める式が作られます。
ここで、「b1」を求めるときにはどのような計算が必要か確かめなければなりません。
そもそも、「bn」は「an+1-an」を置き換えたものでした。
つまり、「b1」と初項を求める場合は、nに1を代入するため「a2-a1」の計算式となります。
では、漸化式の「an+1=2an-3n+4」を使って「a2」の値を求めましょう。
「a2」の値は「n=1」を代入して算出します。
すると、「a2=2a1-3+4」と式が作れるはずです。
あとは、問題文を参考にして答えを出します。
「a2=2×5-3+4」となり、「a2」は11、したがって「a2-a1」は「11-5」となり、「b1」は6と求められます。
結果的に「c1」は3と解が出ます。
以上を等比数列の公式に当てはめると、初項3と公比2である「cn」の一般項は「cn=3・2n-1」です。
「bn=cn+3」であるため「bn=3・2n-1+3」、「bn=an+1-an」なので「an+1-an=3・2n-1+3」と書き換えられます。
ここで、式を「an+1=an+3・2n-1+3」と変形しましょう。
すると、基本数列の漸化式になることがわかるはずです。
あとは、漸化式の一般項を導き出します。
使う公式は、「an=a1+Σn-1k=1bk」です。
「an+1=an+3・2n-1+3」を当てはめた式は、「an=5+Σn-1k=1(3・2n-1+3)」となります。
Σn-1k=1(3・2n-1+3)は、それぞれ公式で表すと「Σn-1k=1(3・2n-1)=3(2n-1-1)/2-1」、「Σn-1k=1(3)=3(n-1)」です。
全てまとめると「an=5+{3(2n-1-1)/(2-1)}+3(n-1)」と計算できます。
最終的な答えは、「3・2n-1+3n-1」です。
CHECK
- n+1をnに置き換えた式を作る
- bnやcnなどを使って計算しやすくする
- 基本数列の漸化式「an=a1+Σn-1k=1bk」を使って一般項を求める
漸化式の応用のおすすめな参考書・勉強法
漸化式の応用を勉強するうえで、おすすめの勉強法は、問題を解く順番に気をつけることです。
応用問題であるため、どの内容も難しく感じるかもしれません。
まずは、1問だけ難問を解いてみましょう。
とりあえず、できるところまで進めてみてください。
-
もし、わからない箇所が出てきたら迷わず答えを見るほうが賢明です。
応用問題はでは、解くためのポイントをいかに自分で見つけられるかが大切です。
漸化式の応用問題を正解するには、パターンや公式などの基本を押さえておく必要があります。
序盤で手が止まるようであれば、一度基本問題に戻りましょう。
さまざまな範囲を網羅的に学習することがコツです。
また、答えを確認しながら解答例の意図を掴むやり方も効率良いといえます。
コツコツと問題に取り組みつつ、解き方を筋道立てながら理解しましょう。
問題集の範囲
漸化式の応用を勉強するうえで、おすすめの問題集と範囲は以下のとおりです。
- 青チャート 【第3章数列】 15 漸化式と数列 16 種々の漸化式
- サクシード 【第3章数列】 22 漸化式と数列(1) 23 漸化式と数列(2)
- 4STEP 【第3章数列】 7 漸化式と数列
- Legend 【第6章数列】 18 漸化式と数学的帰納法
応用問題を解けるようになるには、まずは、手元にある問題を自力で完璧に解けるまで繰り返し演習しましょう。
解説も参考にしつつ、暗記ではなく理解に努めてください。
間違えやすい勉強法は、さまざまな問題集を購入してしまうことです。
特に、応用問題は数問程度しか用意されていないケースもあり、物足りなく感じる方も多いでしょう。
しかし、1問ずつ正確にマスターすることが漸化式を得意にする近道です。
基本的な考え方を押さえれば、ほかの問題も根本の部分は大して変わりません。
決して焦らず、問題集を限定して選んでください。
CHECK
- 問題を解くパターンや筋道の立て方を理解する
- わからない場合は迷わず答えを見て解き方の順序を押さえる
- 問題集は数多く揃えすぎず1問を正確にマスターする
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まとめ
今回は、漸化式の応用について解説しました。
漸化式自体がさまざまなパターンを使って解かなければならないため、最初はつまづくこともあるかもしれません。
しかし、あくまで問題を解くときには順序立ててポイントを押さえることが求められます。
基本的な問題にも立ち返りつつ、1問をしっかりと自力で取り組めるよう練習を繰り返しましょう。
わからない問題が出てきたら、答えの解説から解法を確認することが大切です。
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論理的思考力は、漸化式の問題を解くうえでも欠かせません。
講師たちの手も借り、難しい問題にも対処できるよう準備しましょう。
【初心者でもわかる】この記事のまとめ
「漸化式の応用」に関してよくある質問を集めました。
右辺が分数で分子が1つのパターンはどう解きますか?
まずは、逆数をとることを忘れないでください。分数を上手く分けつつ約分すればある程度整理した状態で計算できます。あとは置き換えを適所で用いていけば、漸化式の一般項を求められます。右辺が分数で分子が1つのパターンについてはこちらを参考にしてください。
定数項が含まれている場合の解き方のコツとは?
例えば、右辺に定数項がある場合は「n+1をnに置き換えた式」を作ります。そこから、元々の漸化式を引き算する過程が必要です。このような計算をし、左辺が「an+2-an+1」の式を作ると一般項が求められやすくなります。あとは、同じように「bn」や「cn」と置き換えて解を出しましょう。定数項がある場合についてはこちらを参考にしてください。
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