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更新日 2020.8.12

【小学校で必修化】プログラミング教育導入の内容や目的・問題点は?

小学校では、プログラミング教育の導入直後ということもあり、

  • プログラミング教育って何?
  • なぜ小学生で取り組むの?
  • 授業はどんなふうに変わるの?何年生から始まるの?
  • 小学生がプログラミングを書けるようになるってこと?

実は、疑問だらけという方も多いと思います。

そこで、この記事では必修化された小学校でのプログラミング教育について、イメージしやすいよう重要なポイントだけを紹介します。

問題点や授業がどうかわっていくのかという部分についてもお伝えしていきます。

※この記事の内容は2020年7月現在の情報です。

プログラミング教育とは

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まずはプログラミング教育を理解するうえで、知っておきたいポイントが3つあります。

  • プログラミング教育の必修化
  • プログラミング教育の内容
  • プログラミングという科目はない

意外に誤解も多いところですので、早速見ていきましょう。

プログラミング教育の必修化

中学校では「家庭・技術」の中で、高校では「情報」(今後必修化の予定)という形で、すでに組み込まれているプログラミング教育。

では、なぜ小学生といった早い時期からプログラミング教育を必須化するのか?といった疑問がでてくるのではないでしょうか。

結論からいうと、プログラムの開発のなかで重要な考え方、「プログラミング的思考」を小学校の授業のなかでくりかえし経験することで、そのスキルを培いやすくするというわけです。

プログラミング的思考=手順を踏み解決していく、といった考え方と姿勢は、プログラマーだけに必要なスキルではありません。

これからの情報科社会の中では、職業にかかわらずあらゆる場面で求められる力でもあります。

どんな内容?

小学校におけるプログラミング教育では、プログラミング言語など技術的なことは扱いません。

身の回りにたくさんのコンピューター(プログラム)が動いていて、そこには手順があると知ることです。

そこから、問題が解決できるといったプログラミング的な「思考」を学びます。

「小学校プログラミング教育の手引」や「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」で指導例をみると、算数や理科といった授業や総合学習など、いろいろな教科・単元・学年が実施対象になっているのがわかります。

このように、小学校ではより学習の理解を深める一つの教材として、パソコンやタブレットなどを活用しながらプログラミングの要素を体験していきます。

「プログラミング教育」という科目ではない

前の内容でも触れましたが、新しく「プログラミング」という科目がつくられたわけではありません。

そのため、(英語とはちがい)何年生からプログラミング教育を実施するといったことや、対象となる教科や単元、そして授業数といった部分にも指針がないため、学校判断で小学1年生からでもプログラミング教育を実施することはできます。

このように小学校ではプログラミング教育は教科として扱わないため、学校の状況に応じて実施することが可能なので、学校ごとに「プログラミング教育」の扱いが異なります。

✔プログラミング的思考は将来誰もが必要となるスキルである

✔小学校ではプログラミングという教科はない

✔授業を通してプログラミング的思考を経験しスキルを育成

プログラミング教育導入の目的について

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プログラミングの技能の習得が目的ではなく、将来的なスキルを身につけることを本来の目的とした小学校のプログラミング教育。

そこには大きく3つの狙いがあります。

以下、詳しく紹介します。

”プログラミング的思考”を育むこと

一つ目のねらいは、教科学習での体験を通してプログラミング的思考、つまりプログラムの考え方を理解することです。

小学校では目的(課題)を実現するためには、思い付きでプログラムの組み合わせを変えるのではなく、

  • 必要な動きに分けて考える
  • 命令を組み合わせる
  • 結果をチェックする
  • 間違いを見つけ改善する

こうしたやりとりを何度も試し、自分の考える動作に近づけていきます。

プログラミング教育ではこのような経験をしながら、プログラミング的思考のベース=論理的に考える力と姿勢を育成することを目的としています。

プログラムの働きやよさに気付くこと

プログラミング教育は、さまざまな場面でコンピューター(プログラム)が関わっていること知り、それが日常の便利さにつながっていることを体感する機会にもなります。

一人ひとりがタブレットなどを使いプログラミング教育を体験するなかで、プログラミングの働きや便利さを知り、さらにプログラミングのおもしろさや興味を引き出すことにつなげていきます。これが二つ目のねらいです。

各教科での学びをより確実なものにすること

三つ目のねらいは、プログラミング教育を導入することで、各教科の学習内容をこれまでのよりも深く理解できるようにすることです。

プログラミング教育でどのような力を育てるのかといった指導計画に基づき、課題と学習内容とリンクさせます。その中でプログラミングの考え方を活用し、積極的な学びにつなげていきます。

ここまでは、プログラミング教育導入の背景や導入の目的などを紹介してきました。次に小学校ではどういった形でプログラミングを使った授業がおこなわれるのか、という部分について紹介していきます。

✔プログラミング的思考を育成する

✔プログラムの働きやよさに気がつく

✔各教科での学びをより確実なものにする

プログラミング教育を学習する場面

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授業の内容がイメージしやすいよう、「小学校プログラミング教育の手引(第2版)」に掲載されている指導例を参考に、3つの学習ケースについて紹介していきます。

算数や理科などでの学習

算数:小学5年生

正多角形の性質を学習したのち、プログラミングによる正多角形の作図に挑戦します。

これまでの授業では分度器を使って作図するのみでしたが、作図のプログラミングを導入することで学習内容への理解と連動させることができます。

その中で

  • どういった命令を必要か、
  • どういった順番で組み合わせるのか

と試行錯誤しながら作り上げることで、プログラミング的思考を深めることにつなげています。

理科:小学6年生

電気の利用といった単元において、照明を効率よく利用するといった課題に取り組みます。

身近なところでも利用されている人感センサーによる「照明制御プログラム」もその一例です。

人を感知する条件や、スイッチをつける・消すといった条件を組み合わせた簡易プログラムを使った、疑似実験ができるのもプログラムならではの学習法です。

実際のものより単純化された制御モデル(プログラム)の作成にはなりますが、課題を通して身近なところにプログラムが利用されていることや、プログラミングへの価値を見出せるテーマでもあります。

音楽や家庭科など副教科での学習

副教科とのプログラミングの関わり方も提案されています。

例えば、音楽(小学3~6年生)ではリズムパターンを使い、音楽作りを体験します。

既存のリズムをどう組み合わせるかを考えながら、プログラミング的思考を深める題材です。

また家庭科では、小学5年生で鍋での炊飯を学習しますが、その応用として自動炊飯器で使われているプログラミングの仕組みまで広げて学習します。

プログラミングによって生活の一部が成り立っていることを意識しながら学べます。

クラブ活動や体験などの課外活動

教科学習とは異なり、プログラミングの面白さや達成感を感じられるようなテーマが対象となります。

短い時間でも無理なく体験できるプログラム作成などもそれにあたります。

またクラブ活動の中では、動画作成や、ロボット制御プログラムの作成など児童の関心に合わせた、より自由な学習機会となります。

✔教科×プログラミングで理解を深める

✔学年にあったテーマでプログラミング的思考を学ぶ

✔課外活動で自由な発想でプログラミングにかかわる機会も

プログラミング教育の問題点

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最後に、プログラミング教育導入の3つの問題点(課題)をまとめます。

予算的な負担

文部科学省は、プログラミング教育を採用するにあったて「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を策定。

タブレットをはじめとするとするICT機器やセキュリティなどの環境整備を進めていますが、地方交付税のため(プログラミング関係に使用用途を限定できず)、学校間で格差があるのが現状です。

プログラミング教育を狙い通り進めるためには、今後も予算的な負担が必要になるでしょう。

今までの教育とのバランス

プログラミング教育は、これまでの授業の一部として導入されるため、授業時間が決まっている中でどうやって既存の授業と掛け合わせるかといった問題と、低学年では基本的操作に慣れるための時間確保も必要になってきます。

決められた授業時間の中で学習の幅を広げるため、これまでの教育授業内容とのバランスが崩れてしまうことが心配されます。

教員が抱える負担の増加

プログラミング教育の必修化には、教師の負担が増えるといった課題もあります。

まずは、研修会に参加しながら教師自身がプログラムの考え方を理解することが必要です。

また、教科学習と異なり学習指導要領に沿ったカリキュラムがありません。そのため、教師自身が学校の状況や受け持つ学年にあわせ、指導計画をつくり取り組む必要があります。

しかも、教科学習向けのプログラミング教材は十分あるといえないため、どの単元とプログラミングを掛け合わせるかといった教材の準備も必要になります。

模索することも多く、教師の負担が増えることになります。

✔今後もICT環境整備の負担が必要

✔今までの教育内容とのバランスが崩れることが心配される

✔導入による教師の負担増(教材開発とスキルアップ)

まとめ

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プログラミング教育の必修化がスタートしましたが、これから解決しなければならない課題もあります。

ここでこの記事のポイントをまとめます。

プログラム教育の必修化のポイントは

  • プログラミング的思考は将来誰もが必要となるスキル
  • 小学校ではプログラミングという教科はない
  • 授業を通してプログラミング的思考を経験し育成する学び

でした。

そして、プログラミング教育をスタートさせる目的は、

  • プログラミング的思考を育成する
  • プログラムの働きやよさに気がつく
  • 各教科での学びをより確実なものにする

でした。

プログラミング教育は、プログラマーを育成するためのものではありません。

小学生で培ったものを、中学校・高校そして社会生活へつなげていく大切な学びです。

この記事を読んで小学校で導入されたプログラミング教育の疑問や不安をぜひ解消してください。

【初心者でもわかる】この記事のまとめ

「プログラミング教育 小学校」に関してよくある質問を集めました。

プログラミング教育って何?

プログラミング教育とは、プログラミング的思考=手順を踏み解決していく、といった力を育てるためのコンピューターによる教育です。

小学生でプログラミング教育を必修化した目的は?

詳しくは記事中に記載していますが、主に、プログラミング的思考”を育むこと、プログラムの働きやよさに気付くこと、各教科での学びをより確実なものにすること、の3つが目的です。

授業はどんなふうに変わるの?

記事中では、各教科の今までの授業の一部として扱われるという内容が記載されています。

プログラミング教育の問題点は?

記事では、予算や教員の負担といった問題点を指摘しています。