ベクトルの性質とは?ベクトルの内積や位置ベクトルについても解説
今回はベクトルの性質をメインに、ベクトルの内積や位置ベクトルについて学習します。
ベクトルの性質やベクトルの内積、位置ベクトルを学習することで、矢印を使って視覚的に理解してきたベクトルを数値を使って表す方法がわかります。
数値を使って表すと、視覚では分からない微妙な違いにまで気づけるようになるため、必ず理解しておきましょう。
また、後半ではベクトルの性質を学習するために必要な参考書や勉強法、塾も紹介しています。
ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください。
ベクトルの定義と計算方法
今回学習するベクトルの性質やベクトルの内積、位置ベクトルを理解するためには、ベクトルの基本を理解しておくことが必要です。
そこで、ここではベクトルの基本であるベクトルの定義と計算方法を復習します。
ベクトルの定義とは、向きと大きさの2つの量を持った概念です。
例えば、東に5メートルや西に10キロメートルなどは、向きと大きさの2つの量を持った概念だといえるでしょう。
ベクトルは矢印を使って表すことができ、矢印の向きがベクトルの向き、矢印の長さがベクトルの大きさを示します。
ベクトルの足し算は、AからB、BからCのように、それぞれのベクトルの終点と始点を繋げて、一筆書きの状態にします。
その状態で、全体の始点と全体の終点を一直線で引いた矢印が答えのベクトルとなります。
例えば、AからBにいくベクトルとBからCにいくベクトルの足し算は、全体としてはAからCにいくことになるため、AからCに向かって引いた矢印(ベクトル)が足し算の答えです。
なお、ベクトルの実数倍では、ベクトルを2倍すると矢印の長さが2倍になり、ベクトルを-2倍すると矢印を逆向きにしたうえで長さが2倍になることを覚えておきましょう。
ベクトルの引き算は、ベクトルの足し算に変形させることで求められます。
例えば、「aベクトル」-「bベクトル」という計算問題の場合は、「aベクトル」+「-bベクトル」とすることで、簡単に答えが求められるでしょう。
しかし、単純に「-bベクトル」と変形させただけでは、一筆書きの状態にできない可能性も考えられます。
そこで理解しておくべきベクトルの性質は、向きと長さが同じであれば、どこに書かれていても同じベクトルとして扱うことです。
すなわち、一筆書きの状態になるように、自分の都合に合わせてベクトルは移動できることを意味しています。
そのため、ベクトルの引き算は、足し算に変形し、一筆書きの状態になるようにベクトルを移動した上で足し算を行うことで答えが求められます。
なお、ベクトルの移動は足し算の場合でも可能なので、移動が必要な場合はしっかり利用しましょう。
CHECK
- ベクトルの定義とは向きと大きさの2つの量を持った概念
- ベクトルの足し算はそれぞれのベクトルの終点と始点を繋げて、一筆書きの状態にする
- ベクトルの引き算は足し算に直す
ベクトルの性質とは?
では、ベクトルの性質を学習していきましょう。
ここでは、ベクトルの成分とベクトルの長さについて、例題を用いながら解説します。
ベクトルの成分
先ほど、ベクトルは矢印で表すと学習しました。
しかし、微妙に違う矢印を見分けたり全く同じ矢印かを判断したりするのは、見た目に頼ると難しいはずです。
-
そこで用いるのが「xy座標」です。
xy座標の原点に矢印のスタート地点(始点)を合わせたときの矢印の先っぽ(終点)の座標が、ベクトルを表す数値となります。
微妙に向きや長さが違う矢印は、終点の座標が異なるため、異なるベクトルであることがわかります。
この「xy座標」をベクトルの成分と呼ぶので覚えておきましょう。
ベクトルの長さ(大きさ)
ベクトルの成分が分かると、ベクトルの長さ(大きさ)もわかります。
-
ベクトルの矢印の長さは直角三角形の斜辺に相当します。
したがって、斜辺の長さがベクトルの長さ(大きさ)と同じであることがわかるでしょう。
直角三角形の斜辺の長さは、三平方の定理で求められます。
例えば、「aベクトル」の成分が(a1,a2)の場合を考えましょう。
この場合、「aベクトル」の長さは、|aベクトル|=√a1^2+a2^2となります。
ここで、三平方の定理を用いると、計算に2乗が含まれてしまいます。
前回学習したベクトルの基礎では、足し算と引き算しか学習しませんでした。
2乗は掛け算なので、前回の知識ではこの計算を解けません。
そのため、2乗が出てきた際の計算方法は次章で詳しく解説します。
CHECK
- ベクトルの成分とはベクトルをxy座標を使って表すこと
- ベクトルの長さは直角三角形の斜辺に相当
- ベクトルに足し算・引き算はあるが掛け算はない
ベクトルの内積
-
先ほど、ベクトルの掛け算について触れましたが、厳密にいうと実数の掛け算と同じ計算はベクトルにはありません。
そのかわり、掛け算に似たものとして、ベクトルの内積があります。
そこで、ここではベクトルの内積について解説します。
ベクトルの内積とは?
ベクトルの内積の公式は以下の通りです。
「aベクトル」・「bベクトル」=|aベクトル||bベクトル|cosθ(θは「aベクトル」と「bベクトル」との間の角度の小さい方)
これを「aベクトル」と「bベクトル」の内積と呼びます。
ベクトルの垂直
ベクトルの内積には、2つの特殊な事例があります。
そのひとつがベクトルの垂直です。
「aベクトル」と「bベクトル」が垂直に交わっているとき、間の角度(なす角)は90°です。
すなわち、cosθ=cos90°=0のため、「aベクトル」と「bベクトル」が垂直に交わるときの内積は0になります。
問題演習において、2つのベクトルが垂直であることが条件であれば、内積が0であることを利用する問題である可能性が高いので、必ず覚えておきましょう。
同じベクトル同士の内積
もうひとつの特殊な事例が同じベクトル同士の内積です。
同じベクトル同士なので、なす角は0°です。
cos0°=1なので、同じベクトル同士の内積は、「aベクトル」・「aベクトル」=|aベクトル|^2となります。
こちらも問題演習で使うため、覚えておきましょう。
CHECK
- ベクトルの内積の公式は「aベクトル」・「bベクトル」=|aベクトル||bベクトル|cosθ
- ベクトルが垂直に交わる際は内積が0
- 同じベクトル同士の内積は「aベクトル」・「aベクトル」=|aベクトル|^2
位置ベクトル
ここでは、位置ベクトルについて学習しましょう。
位置ベクトルとは何か、また内分点・外分点についても解説します。
位置ベクトルとは?
位置ベクトルとは、点の位置を表す方法の一種です。
今までは、xy平面上に書かれている点を指定するためには、x座標とy座標をペアで指定していたはずです。
例えば、点A(1,2)だとすれば、x軸方向に1、y軸方向に2進んだ点を表します。
これを別の方法で表すのが位置ベクトルです。
では、位置ベクトルではどのように点の位置を表すのでしょうか?
座標平面の原点に始点を合わせた時に点Aに終点がくるベクトルが1つだけ存在するはずです。
このベクトルを「aベクトル」と表すと、A(「aベクトル」)となります。
座標で表す場合は、カッコの中身に座標を表す点を書いていましたが、位置ベクトルの場合は、ベクトルを書くだけで問題ありません。
位置ベクトルと内分点・外分点
数学Ⅱで学習した内分点・外分点も、位置ベクトルを用いて表せます。
従来、線分ABをm:nに内分する点Pは、
P(nx1+mx2/m+n, ny1+my2/m+n)と表します。
これを位置ベクトルを使って表すと、点A(aベクトル)、点B(bベクトル)を結ぶ線分ABをm:nに内分する点Pは、
「pベクトル」=n「aベクトル」+m「bベクトル」/m+n
と表せます。
外分点についても同様のことがいえます。
点A(aベクトル)、点B(bベクトル)を結ぶ線分ABをm:nに外分する点Pは、
「pベクトル」=-n「aベクトル」+m「bベクトル」/m-n
と表せます。
CHECK
- 位置ベクトルはベクトルの始点を原点Oにしたベクトル
- 内分点をベクトルで表すと「pベクトル」=n「aベクトル」+m「bベクトル」/m+n
- 外分点をベクトルで表すと「pベクトル」=-n「aベクトル」+m「bベクトル」/m-n
ベクトルの性質のおすすめの参考書・勉強法
ベクトルの性質のおすすめの勉強法は、簡単な問題から繰り返し学習することです。
いきなり難しい問題を解いても、理解が不十分な場合が多く、解くのに多くの時間を費やすことになるでしょう。
それでは、数学の他の分野の勉強ができなくなるだけでなく、他の科目を勉強する時間もなくなってしまいます。
そのため、まずは簡単な問題から繰り返し解くことで、ベクトルの性質の基礎的な力がつきます。
基礎的な力があれば、難しい問題にも挑戦しやすくなるため、ぜひ基礎固めをおろそかにせず、きちんと取り組みましょう。
問題集の勉強範囲
ベクトルの性質の学習におすすめの問題集の範囲は以下の通りです。
- 青チャート【第1章 平面上のベクトル】1 ベクトルの演算 2 ベクトルの成分 3 ベクトルの内積
- サクシード【第1章 平面上のベクトル】1 ベクトルの演算⑴ 2 ベクトルの演算⑵ 3 ベクトルの成分
- 4STEP【第1章 平面上のベクトル】1 平面上のベクトルとその演算 2 ベクトルと平面図形
- Legend【第7章 ベクトル】19 平面上のベクトル 20 平面上のベクトルの成分と内積
これらの問題集を繰り返し解くことで、ベクトルの性質の基本的な問題の解き方が身に付きます。
中には難しい問題も含まれているので、「よくわからないな」と感じた問題があれば、一旦飛ばしても構いません。
基本的な問題の解き方が身につけば、難しい問題にも挑戦しやすくなるため、まずは簡単な問題、基本的な問題から順番に解き方をマスターしましょう。
CHECK
- 簡単な問題を繰り返すことから始める
- いきなり難しい問題に挑戦すると効率が悪い
- 分からない問題は飛ばしても構わない
ベクトルの性質を勉強するなら「オンライン数学克服塾MeTa」
ベクトルの性質を勉強するなら「オンライン数学克服塾MeTa」がおすすめです。
対象 | 高校生 |
---|---|
授業形式 | 1対1のオンライン個別指導 |
校舎 | オンライン |
特徴 | 数学克服に特化したオンライン専門塾 |
なぜベクトルの性質の勉強に「オンライン数学克服塾MeTa」がおすすめなのか、その理由を2つ紹介します。
オーダーメイドカリキュラムで苦手を克服
1つ目は、オーダーメイドカリキュラムで苦手を克服できることです。
「オンライン数学克服塾MeTa」では、苦手分析をしたうえでオーダーメイドカリキュラムを作成しています。
オーダーメイドカリキュラムを作成することで、苦手な部分を重点的に学習することが可能です。
成績を上げるためには、苦手な部分を克服することが1番の近道なので、オーダーメイドカリキュラムを導入することで、成績を上げやすくなるでしょう。
徹底的なマンツーマン指導
2つ目は、徹底的なマンツーマン指導です。
一般的な個別指導では、講師1人に対して生徒が2〜3人いることは少なくありません。
しかし、それでは細かい部分にまで目が届かず、個別指導で学習する意味が薄れてしまいます。
一方、「オンライン数学克服塾MeTa」では、講師1人に対して生徒も1人のため、成長の様子を細かく見てくれます。
生徒に合わせて授業の仕方を変えてくれるため、より効果のある授業を受けられます。
CHECK
- オーダーメイドカリキュラムで苦手を重点的に学習
- 講師1人に対して生徒が1人の徹底したマンツーマン指導
- 生徒に合わせて授業の方法を変えてくれる
まとめ
今回は、ベクトルの性質をはじめ、ベクトルの内積や位置ベクトルについて学習しました。
ベクトルの性質を理解することで、数値でベクトルを表せるようになります。
また、ベクトルの内積や位置ベクトルは、今後のベクトルの学習においても基礎となる重要な項目であるため、きちんと理解しておきましょう。
次回は、位置ベクトルの内容の応用であるベクトル方程式の学習をします。
難しいと感じられる方もいるかもしれませんが、今回の内容を理解していれば、すんなりと理解できるので、疑問点は解消しておくようにしてください。
【初心者でもわかる】この記事のまとめ
「ベクトルの性質」に関してよくある質問を集めました。
ベクトルの成分を表す方法とは?
ベクトルの成分はxy座標を用いて表します。具体的にはxy座標の原点に矢印のスタート地点(始点)を合わせたときの矢印の先っぽ(終点)の座標がベクトルの成分です。ベクトルの成分についてはこちらを参考にしてください。
ベクトルの性質の証明はすべき?
ベクトルの性質の証明は可能であればやったほうが理解度は高まります。しかし、ベクトルの性質の証明がそのまま出題される可能性は低いため、学習の優先順位は低くなります。試験までに余裕があり、ベクトルの理解度を深めておきたいと考える場合にはぜひ取り組んでみることをおすすめします。ベクトルの証明についてはこちらを参考にしてください。
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