東大理系数学の入試傾向・特徴と対策・おすすめの参考書とは
受験生の誰もが一度は憧れる日本最難関の大学「東京大学」
国内トップの東京大学の理系数学は二次試験の配点が非常に大きく、合否を左右する上で重要な教科です。
6問ある大問はそれぞれ20点という配点の高さ、数学の点数が東大の二次試験の約3割を占めることを考えると数学の対策は重点的に行う必要があることが分かります。
ここでは東大の理系数学を学習する受験生に向けての入試概要や傾向・対策、おすすめの参考書やオンライン予備校、個別指導塾の紹介をしていきます。
東大理系数学の入試概要
まずは東京大学の理系数学の入試概要をみていきましょう。
試験日について
共通テスト(2024年度) | 個別学力検査 |
---|---|
2024年1月13日(土)、14日(日) | 理科一・二類: 2023年2月25日(土)、26日(日) 理科三類:2023年2月25日(土)~27日(月) |
配点について
国語 | 数学 | 理科 | 英語 | 計(点) |
---|---|---|---|---|
80 | 120 | 120 | 120 | 440 |
共通テストは900点満点を110点満点に換算します。
よって、共通テスト110点+二次試験440点=550点満点になります。
個別学力検査「理系数学」の試験範囲について
理系数学の試験範囲は「数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B(数列、ベクトル)」です。
東大理系数学の予想配点
東大は合格者の科目別の平均点を公表していません。
合格者の共通テストと二次試験のボーダーを見ることで目標得点を確認していきましょう。
2023年の東大理系の最終合格者(共通テスト+二次試験550点満点)の合格最低点と合格平均点を見てみましょう。
【合格最低点】
理科一類 | 理科二類 | 理科三類 |
---|---|---|
315(57.2%) | 313(56.9%) | 357(64.9%) |
【合格平均点】
理科一類 | 理科二類 | 理科三類 |
---|---|---|
335(60.9%) | 334(60.7%) | 389(70.7%) |
【共通テストボーダーライン】
理科一類 | 理科二類 | 理科三類 |
---|---|---|
700(88%) | 695(87%) | 680(92%) |
東大は、共通テストのボーダーラインが87%~92%と、かなり高くなっています。
二次試験の対策の前に、共通テストで確実に高得点を狙えるようにしておきましょう。
★ボーダーは共通テスト90%、個別テスト60%
★数学の大問は6問。試験時間150分で120点満点
★大問2つの完答を目指し、その他は部分点を稼ぐ
東大理系数学の入試問題の特徴と傾向
国内最難関大学である東大理系の数学の二次試験の問題の特徴と傾向をみていきましょう。
東大理系数学の入試問題の特徴
大問は全て記述式
大問6問からなる問題の全てが記述式になっています。
設問ごとではなく、大問ごとに区切られた解答用紙に自由形式で記述していきます。
解答用紙に収まりきらないことも考えられるので、真ん中に縦線を入れ分割して解答するなど、自分なりの使い方を見つける必要があります。
思考力・洞察力を必要とする難問が多い
東大理系数学の難易度は非常に高いです。
一見して解法が思い浮かばない問題が多数を占めます。
とにかく手を動かしながら解法を見つけていく作業が必要です。
他分野との融合問題が多い
6つの大問の中で受験生の知識、理解度をより深く知るために東大の理系数学の問題は複数の分野が融合した問題が出されます。
典型的な題材は確率と数列の融合問題である「確率漸化式」、数列と極限、複素数平面と図形の相似の融合問題、等です。
数学全体の深い知識を持った上で、様々な問題に柔軟に対応する力が求められています。
東大理系数学の入試問題の傾向
以下は東大理系数学で頻出の分野です。
- 図形に関する問題
- 微分法・積分法
- 複素数平面
この他、整数に関する問題や不等式による評価といった論証力を問われる問題も頻出です。
2022年度は5年ぶりに確率が出題されました。
複素数平面は理系に限りますが、近年頻出の分野です。
整数問題は、一見解けそうに見えて解けないという問題が多いのが特徴です。
限りある試験時間の中で整数問題に大きく時間を取られないように切り替えるのも大切です。
東大理系数学は基礎解法で解ける問題もあります。
学習の早い段階で基礎解法をしっかりと身に付けると応用問題への対策がスムーズにいきます。
★東大理系数学の問題は全て論述形式になっている
★問題文の量が多く、一見しただけでは解法が分からないので思考力が必要
★単分野ではなく分野間の融合問題が多く数学の深い知識を要する
東大理系数学の過去問を解いてみよう!
東大理系数学の時間配分は?
東京大学の理系数学は大問6問で構成されています。
試験時間は150分なので、ざっくりした配分としては、大問1題につき25分かけるというイメージです。
25分にとらわれず、本番の問題を見て柔軟に配分を変える必要があります。
解けそうな問題に時間をかけて確実に得点すると良いでしょう。
東大理系数学の目標点は?
二次試験の科目全体で60%の得点率は欲しいので、理系数学は70~75点を目指しましょう。
東大数学は非常に難易度が高いのが特徴です。
そのため全問を完答することを目指すのではなく大問6つのうち2問の完答を目指し、残りは小問で点数を取っていきましょう。
設問が難しく解けない場合も、問題文を式にして記述しておくことで、部分点を稼ぐこともできます。
入試に向けて鍛えるべき力
- 柔軟な発想力
- 難問を見分け捨てる力
- 過去問に慣れておこう
柔軟な発想力
東大の数学は一筋縄ではいかず、問題の解法がすぐに浮かばないことが多くあります。
そのため、どう解けば良いのかを様々なアプローチで思考する必要があります。
この発想力・思考力を鍛えるには、とにかく膨大な問題量を解くことが一番です。
東大の出題傾向を知り、問題に慣れるに、赤本を10~25年ほど解くと良いでしょう。
難問を見分け捨てる力
東京大学の数学は入試直前になっても解けない問題が出てくることはよくあります。
難問は、他の受験生も解けないと捉えて、飛ばして次の問題に進むのが最善です。
難問を目の前にして考え込まず、自分が解ける問題から解き進めましょう。
優先順位を決めることは、確実な得点につながりますので、日頃から難問を見分けられるようにしておきましょう。
過去問に慣れておこう
過去問を使って対策を行うことで、時間配分を掴むことができるだけでなく、発想力や思考力を身に付けることができるので、入試本番に必要な力を身につけることができます。
過去問を解く際は、難易度の低い大問、また難しい大問の1問目や、2問目は確実に点数を落とさないよう意識して、対策を行いましょう。
また、自分の得意分野の大問でしっかりと点数を取れるよう、分野を絞って学習すると良いでしょう。
★東大理系数学の頻出分野は「確率」「複素数平面」「図形」「整数問題」など
★年度によっては頻出分野からの出題がされないこともあるので偏った対策をしない
★分野を融合した問題が多いため、様々な発想でアプローチをする力が求められる
東大理系数学の対策・勉強法
頻出分野の対策
ここでは東大理系数学の頻出分野と対策必須分野を紹介していきます。
空間図形の求積問題
2016年以降に出題が見られるのが「空間図形の求積問題」です。(出題がされない年もあります)
立体図形の求積問題は、適切な切断面を考えることがポイントになります。
座標空間の立方体の問題などは、空間の図を描いても必要な情報が得られないこともあります。
断面で考えたり、代数的に考えるといった発想力を持ちましょう。
微分法・積分法
東大理系入試において、微分と積分はほぼ毎年出題されます。
2022年度は、「微分と積分の関係」や三角関数の問題が出題され、微分・積分ともに大問1題ずつを占めました。
微分・積分は苦手意識をもつ受験生も多いですが、ほとんど必ず出題される分野です。
応用問題に対応するには、ただ公式を暗記するのではなく、式の成り立ちや意味を理解しましょう。
解く量をこなすことで、次第に自分のミスや弱みが見え、段々と苦手意識もなくなるはずです。
複素数平面
2016年以降頻出分野になっているのが「複素数平面」です。
東大理系数学の複素数平面の問題は複素数の知識だけではなく他分野の知識を必要とする問題が出題されています。
軌跡・領域の問題と絡めたり、図形の相似と絡めた問題も出題されているので、融合問題の対策も必要です。
★立体図形の求積問題は、適切な切断面を考えることがポイント
★微分法・積分法は、ただ公式を暗記するのではなく、式の成り立ちや意味を理解しよう
★東大理系数学の複素数平面の問題は、他分野の知識を必要とする問題が出題される
東大理系数学の対策に強い塾は?
【数学専門塾】オンライン数学克服塾MeTa
オンライン数学克服塾MeTaの基本情報 | |
---|---|
対象 | 中学生・高校生 |
授業形式 | オンライン(個別1対1、集団) |
特徴 | 数学克服・対策に特化したオンライン専門塾 |
オンライン数学克服塾MeTaは、数学克服や数学対策に特化したオンライン専門塾です。
また岩手大学医学部や京都大学など難関大学への合格者も輩出している実績豊富な塾です。
オンライン数学克服塾MeTaの特徴
オンライン数学克服塾meteでは、生徒の目的に合わせて3日ベースで学習計画表を作成します。
学習計画に基づき、完全マンツーマン指導で数学に精通した優秀な講師が指導を行います。
また単に解法を覚えるのではなく、生徒が主体的に考える力を身に着ける問答法授業を行っています。
そして東大理系数学では、思考力・洞察力を必要とする難問が多いため、確実に数学力アップを図りたい方は、metaを利用してみてはいかがでしょうか?
【逆転合格】オンラインプロ教師メガスタ
メガスタ高校生の概要 | |
---|---|
対象年齢 | 高校生 |
対象地域 | 日本全国 |
授業形式 | オンライン個別指導 |
特徴 | 生徒一人一人に合わせた個別カリキュラム 授業日以外の学習計画・学習方法についても指導 |
メガスタ高校生は、1対1の個別指導塾です。
また、日本最大級の合格実績を誇っており、東大をはじめとした難関大学を合格している生徒が多数います。
メガスタの生徒のほとんどが最初は偏差値30~40台なので逆転合格がしたいという人にもおすすめの家庭教師です。
日本最高レベルのプロ講師が指導
メガスタは、トッププロ講師よるレベルの高い指導を行っています。
講師は指導経験や学習方法に対する専門性に関してはもちろん、講師としての責任感や熱意に関してもしっかりとしている講師を採用しています。
採用率は8%という低い数値なためどの講師についても信用することができます。
東大理系数学におすすめの参考書
東大数学で得点を上げるために必要な力は「素早く正確に処理する力」「高度な発想力・思考力」「難易度を見極める力」です。
教科書レベルの基礎問題を疎かにせず、確実に基礎力を付けた上で応用問題の対策をしていく必要があります。
ここでは東大数学対策におすすめの参考書を4冊ご紹介します。
いずれも応用問題対策なので、十分に基礎力を付けてから臨んで下さい。
大学への数学 1対1対応の演習 新訂版
大学への数学 1対1対応の演習の特徴
基礎学力がしっかり付いた上で利用して欲しいのが「大学への数学」です。
難関大学受験者向けに厳選された問題で構成されており例題と演習問題を1対1に対応させているのがポイントです。
分野ごとに定義や定理等をコンパクトにまとめています。
問題数、扱っている問題は良問のみに絞られており、重要なポイントをしっかりと押さえることができます。
参考書 | 出版社 | 価格 | レベル | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
大学への数学 | 東京出版 | 1,210円~1,650円 | 上級者 | 東京出版 |
鉄緑会東大数学問題集 資料・問題篇/解答篇 1981-2020(40年分)
鉄緑会東大数学問題集の特徴
高い合格率を誇る鉄緑会による東大数学の40年分の問題の集大成です。
丁寧な解説と様々な角度からの分析が特徴です。
何通りもの解法を見ることができ、問題ごとに「どういった方針を立てるのが妥当か」が書かれています。
初見の問題への対応力、発想力が磨かれる1冊です。
参考書 | 出版社 | 価格 | レベル | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
鉄緑会東大数学問題集 | KADOKAWA | 19,800円 | 上級者 | KADOKAWA |
Focus Gold
Focus Goldの特徴
進学校で使用されることが多く、実際に東大に合格した受験生からも評判の高い参考書です。
基本から応用まで幅広く扱っており、充実した例題と演習問題で先取り学習や振り返り学習を効率よく行うことができます。
解説も丁寧に記載されており、内容がかなり充実しているので、基礎固めをしっかり行った後に取り組むことをおすすめします。
数学ⅠA、ⅡB、Ⅲの3冊が販売されていますので、自分が特に鍛えたい分野を購入すると良いでしょう。
参考書 | 出版社 | 価格 | レベル | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
Focus Gold | 啓林館 | 2,023円~2,455円 | 上級者 | 啓林館 |
上級問題精講
上級問題精講の特徴
上級問題精講は、最難関国公立大対策に特化した参考書です。
一方、解説は丁寧に記載されていますので、問題を解いても消化しできないということはなさそうです。
「精講」部分では、問題をどう解くのか、どこに着眼すればいいのかが記載されており、入試問題を素早く解き進める解答力を養うことができます。
数ⅠAⅡBシリーズと、数Ⅲシリーズの2冊展開となっています。
数Ⅲシリーズでは、複素数平面の内容も充実していますので、東大を目指す受験生に特におすすめです。
参考書 | 出版社 | 価格 | レベル | 販売サイト |
---|---|---|---|---|
上級問題精講シリーズ | 旺文社 | 1,430円~1,650円 | 上級者 | Amazon、楽天など |
まとめ
日本最難関の東京大学の合格を目指すためには約6割の正答率が必要です。
全ての問題を完璧に解く必要は無く、確実に解ける問題を見抜いた上で正確かつスピーディーに解答していく力が求められます。
150分という時間の中で6つの大問のうち、2問を完答することができ、小問を解くことができたら東大合格は見えてきます。
基礎力を完璧にした上で、分野融合問題や初見の問題に取り掛かっていくようにしましょう。
東大理系数学で必要とされる高度な発想力や高い論述力は一朝一夕では身に付きません。
得点を上げる解答の作り方は、マンツーマン指導で添削をしてもらいながら効果的に学習をしていきましょう。
【初心者でもわかる】この記事のまとめ
「東大理系数学」に関してよくある質問を集めました。
東大理系数学の入試情報は?
2023年度の東大理系の入試結果は、合格最低点が理科一類が550点中314点、理科二類が312点、理科三類が357点となりました。また共通テストのボーダーラインは87%~92%とかなり高くなっています。その他入試情報については記事内をご参照ください。
東大理系数学の特徴・傾向は?
東大理系数学の入試問題の傾向は、図形問題、微分・積分、複素数平面などが頻出傾向にあります。2022年度は5年ぶりに確率が出題されました。その他傾向や対策・勉強法については記事内をご参照ください。
東大理系数学におすすめの参考書は?
東大理系数学におすすめの参考書は、「1対1対応の演習」、「鉄緑会東大数学問題集」、「Focus Gold」、「上級問題精講」をご紹介しています。どれも実際に東大に合格した受験生からの評判が高く、おすすめです。特徴や価格については記事内をご参照ください。
東大入試対策に強い塾は?
東大理系数学の対策に強い塾として、数学克服や数学対策に特化した「オンライン数学専門塾MeTa」をご紹介しています。詳しくは記事内をご参照ください。
StudySearchでは、塾・予備校・家庭教師探しをテーマに塾の探し方や勉強方法について情報発信をしています。
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