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更新日 2021.11.8

不動産鑑定士は独学で合格可能?難易度・倍率・合格率や仕事内容をご紹介

不動産鑑定士という名前は聞いたことがあるけれど、どのような仕事をする資格なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、国家資格の中でも特に難易度の高い不動産鑑定士についてご紹介します。

不動産鑑定士の仕事内容や不動産鑑定士試験の内容、対策方法など詳しく記載しています。

国家資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産鑑定士になるには?

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不動産鑑定士とは

不動産鑑定士は国家資格

不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価を行うことができる唯一の資格者として、不動産の鑑定評価に関する法律という法律で定められた人のことです。

不動産鑑定資格は、不動産鑑定の法律によって制定された国家資格であり、「司法試験」「公認会計士」と同様特に難易度の高い国会資格となっており、日本三大国家資格と呼ばれています。

不動産の評価を行う資格

不動産鑑定士は、不動産や土地について学び、その知識を用いて土地の価値の査定や不動産の価格決定を行います。

適切な価格で、適切な土地活用が行われるよう鑑定を行ったり、不動産主へのコンサルティングも行います。

不動産鑑定士の詳しい仕事内容はこちら→

どうすれば不動産鑑定士になれるのか

不動産鑑定士になるためには以下の3つが必要となります。

不動産鑑定士になるには
  • 1.不動産鑑定士試験に合格する
  • 2.一定期間の実務修習
  • 3.不動産鑑定士名簿への登録

1.不動産鑑定士試験に合格する

不動産鑑定士になるためには、難関試験である不動産鑑定士試験に合格する必要があります。

不動産鑑定士試験には、毎年5月に行われる短答式試験と8月に行われる論文式試験があります。

不動産鑑定士試験についてはこちら→

2.一定期間の実務修習

2種類の試験に合格したら、国土交通省が認めた研修期間で実務修習を受ける必要があります。

実務修習では、物件調査実地演習及び一般実施演習を行います。

ただ、直近1年間に鑑定事務所での実務経験がある場合は、みなし履修と言って実施修習の一部を免除されます。

3.不動産鑑定士名簿への登録

不動産鑑定士として活躍するためには、まずその資格があると公に認められるために不動産鑑定士名簿に登録しなければいけません。

登録は住んでいるところを管轄する都道府県知事を通して、その都道府県を管轄する地方整備局に必要な書類を提出する必要があります。

また、登録するためには登録免許税6万円を納付する必要があります。

✔不動産鑑定士は最難関の国家資格

✔土地の的確な活用や不動産の価格の決定

✔一定期間の実務修習も必須

不動産鑑定士の仕事内容・年収は?

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不動産鑑定士の就職先

不動産鑑定士の主な就職先
  • 不動産会社・不動産鑑定事務所
  • 銀行・資産運用会社
  • コンサルティング会社
  • 独立開業

不動産鑑定士は不動産に関する専門家としての能力を高く買われ、さまざまな職場で活躍しています。

個人として不動産鑑定事務所を開業している人や、その事務所で勤務している人、また不動産鑑定部門を持っている信託銀行・不動産会社・保険会社で仕事を行っている人もいます。

不動産は社会の中で無関係ではいられないものですから、さまざまな幅広い職場で活躍することができます。

不動産鑑定士試験の合格率はこちら→

不動産鑑定士の具体的な仕事内容

不動産鑑定士の具体的な仕事としては、国や都道府県から不動産の価格の評価を依頼される公的評価と、一般の会社や個人から依頼される、民間評価の二つに分けることができます。

公的評価

公的評価の依頼元
  • 国土交通省
  • 都道府県
  • 国税局
  • 市町村
  • 裁判所

不動産に関する公的な評価では、道路などを新たに作る場合に国民から土地を買収するための価格や、税金の根拠となる不動産の価格調査などを行います。

依頼された調査は、不動産鑑定に関する法律の一定基準に基づいて行われます。

民間評価

民間の会社や個人からの鑑定の目的は、不動産を売買するときの参考にするための評価資産や担保の評価などが中心になっています。

最近では会社の会計制度の国際化や、J-REITなど不動産の金融商品化が進み民間評価が増えているのです。

具体的なものを挙げると、企業や個人が不動産の売買をする際に参考にするための評価や、持っている資産の価値を把握するための資産評価があります。

また、金融機関などがお金を借りる際に不動産を担保とする場合に必要となる担保評価なども行います。

不動産鑑定士の年収・将来性

不動産鑑定士の年収

厚生労働省の調査によると、不動産鑑定士の平均年収は約800万円のようです。

全年齢での平均や約800万円のため、歴の長い人や独立を果たしている人はもっと多くの年収を得ていると考えられます。

資格試験の難易度はとても高いですが、一度不動産鑑定士の資格を手にすれば、かなり安定した生活ができると考えられます。

不動産鑑定士の将来性

不景気やAIの発達によって、難易度の高い不動産鑑定士の試験に合格しても将来不要な資格となるのではないかとお考えの方も多いようです。

結論、不動産鑑定士の資格は、今後も必要な資格であると考えられます。

不動産鑑定士の仕事の現状では、公的評価を行う仕事は減っているものの、コンサルティングなどの仕事は増えており、AIにすべてをゆだねることは現状不可能と考えられています。

実際不動産鑑定士の受験者数は年々増加しており、人気のある資格であると考えられます。

✔不動産鑑定士の仕事内容は、不動産の鑑定評価

✔公的評価と民間評価がある

✔不動産鑑定士は様々な職場で活躍している

不動産鑑定士試験の内容

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不動産鑑定士の試験概要

試験日程

不動産鑑定士の試験内容
出願期間 令和3年2月12日~3月12日
試験日 短答式:令和3年5月9日
論文式:令和3年8月14・15・16日
試験地 北海道/宮城/東京/新潟/愛知/大阪/広島/香川/福岡/沖縄
合格発表日 短答式:令和3年6月23日(水)
論文式:令和3年10月29日(金)

不動産鑑定士の試験は、毎年2月~3月に出願期間があり、5月と8月に行われます。

短答式試験・論文式試験両方に合格する必要があり、論文式試験は短答式試験の合格者のみ受験できます。

短答式試験に合格すると、翌年と翌々年の短答式試験は免除されますが、それ以降は再度短答式試験を受験し、合格する必要が出てきます。

受験料

試験に申し込む際には、電子申請書類申請の2種類から選ぶことができます。

受験料は電子申請の場合12,800円、書類申請の場合13,000円となっています。

書類申請の場合は申し込みの際に同封し、電子申請の場合は支払いに納付期限があります。

試験科目

試験時間 試験科目
10:00~12:00 不動産に関する行政法規
13:30~15:30 不動産の鑑定評価に関する理論

短答式試験の問題はすべて選択式で、マークシートを用いて試験が行われます。

短答式試験では、土地鑑定委員会が定めた約7割以上の点数を取った人が合格者となります。

試験日 試験時間 試験科目
1日目 10:00~12:00 民法
13:30~15:30 経済学
2日目 10:00~12:00 会計学
13:30~15:30 不動産の鑑定評価に関する理論
3日目 10:00~12:00 不動産の鑑定評価に関する理論
13:30~15:30 不動産の鑑定評価に関する理論(演習)

論文式試験では、3日間に分けて6つの試験が行われます。

論文式試験はその名の通り、論文式で解答する問題のみ出題されます。

合格点は土地鑑定委員会が認めた約6割の点数となっており、合格は極めて困難な難易度の高い試験となっています。

不動産鑑定士試験に合格するための勉強法はこちら→

不動産鑑定士試験の範囲

不動産鑑定士の出題範囲
不動産に関する行政法規 土地基本法、不動産の鑑定評価に関する法律、地価公示法、国土利用計画法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、建築基準法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律など
不動産の鑑定評価に関する理論 不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項
民法 民法第1編~5編、借地借家法、建物の区分所有等に関する法律
経済学 ミクロ及びマクロの経済理論と経済政策論
会計学 財務会計論

出題範囲は毎年変更され、令和3年の出題範囲は令和2年9月1日時点で試行されている法律に基づいた問題となっています。

不動産に関する行政法規は、上記に挙げた法律以外にも多数の分野から出題されます。

論文式試験の演習では計算も必要になるので電卓の持ち込みも可能です。

✔試験は毎年5月と8月

✔短答式試験はマークシート

✔論文式試験は記述式

不動産鑑定士の難易度

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不動産鑑定士試験の合格率

不動産鑑定士試験は、短答式試験・論文式試験の両方の合格点に達する必要があります。

短答式試験の合格率

ここでは、過去5年間の短答式試験の受験者数・合格者数・合格率をご紹介します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成29年 1,613名 524名 32.5%
平成30年 1,751名 584名 33.4%
令和元年 1,767名 573名 32.4%
令和2年 1,415名 468名 33.1%
令和3年 1,709名 621名 36.3%

不動産鑑定士試験の短答式試験の合格率は、毎年約30%のようです。

毎年1,500人前後の人が受験していることから人気の資格であることがうかがえます。

論文式試験の合格率

ここでは、過去5年間の論文式試験の受験者数・合格者数・合格率をご紹介します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成29年 733名 106名 14.5%
平成30年 789名 117名 14.8%
令和元年 810名 121名 14.9%
令和2年 764名 135名 17.7%
令和3年 809名 135名 16.7%

論文式試験の合格率は短答式試験よりも低く、毎年15%前後のようです。

令和2年には新型コロナウイルスの影響で受験者数が減っていますが、令和3年には例年通りとなっていることがわかります。

不動産鑑定士になる上で必要な偏差値

不動産鑑定士試験合格に学力レベルを偏差値で表すと、偏差値は68~74となります。

偏差値74は、日本最難関の大学である京都大学の医学部の偏差値や東京大学の偏差値と同様であり、相当な学力が必要であることが伺えます。

不動産鑑定士の試験では、特に論文式試験が難しく、このような偏差値であると考えられるようです。

他の国家資格と比べると?

ここでは、他の国家資格の合格率と比較していきます。

国家資格合格率
不動産鑑定士 10%~15%
公認会計士 8%~10%
司法試験 35%~40%
弁護士 5%~10%
税理士 15%~20%

不動産鑑定士は、短答式試験と論文式試験両方の合格が必要なこと、また誰でも受験可能なことが影響し、国家資格の中でも最も合格率の低い試験となっています。

✔論文式試験の難関さが資格取得の難易度を上げている

✔近年では受験者数も合格者も増え続けている

✔法試験や公認会計士試験と並び称されるほどの難関の国家資格試験

不動産鑑定士試験に合格するには?

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不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間

不動産鑑定士合格に必要な勉強時間は、2,000時間~4,000時間であると考えられます。

短答式試験対策には約1,500時間、論文式試験対策には約2,500時間の勉強時間を確保することが理想的です。

不動産鑑定士はとても難易度の高い資格のため、2年以上前からの対策が必要です。

不動産鑑定士試験の対策方法

短答式試験は平均的に7割取れるように

不動産鑑定士試験は論文式試験の難易度がとても高いですが、短答式試験も甘くはありません

各科目に足きりの点数が設けられているため、全科目7割取れる対策が必要となります。

論文式試験は長い時間をかけて対策

勉強を始める際には、まず、短答式試験の試験勉強を初め、論文式試験は時間をかけてじっくり学習することをおすすめします。

何度もテキストの問題を解き、自分の中で深く理解することが大切です。

頻出問題を重点的に暗記

不動産鑑定士の試験は、短答式試験・論文式試験の2つがあり、出題範囲が広いです。

そのため、闇雲に学習するのではなく、頻出問題に限って対策を行うのが効率的です。

試験勉強は独学でできるのか

不動産鑑定士は国家資格であり、試験の合格率は短答式が30%前後論文式は15%前後と難易度の高い内容です。

そのため、独学で勉強をすることは絶対に無理とは言えませんが、かなり難しいです。

短答式だけであればなんとかなるかもしれませんが、論文式は演習問題などもあり深い理解が必要となるため、スクールに通うことをお勧めします。

✔必要勉強時間は2,000時間から4,000時間

✔全科目抜け目のない対策を

✔独学での合格は難しい

まとめ

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不動産鑑定士は国家資格であり、不動産鑑定士になるには国家試験の不動産鑑定士試験に合格する必要があります。

仕事は不動産の鑑定評価であり、公的な評価をする際に官公庁から依頼を受けることもあります。

不動産鑑定士試験の難易度は高く、短答式試験は約30%、論文式試験は約15%の合格率となっているようです。

試験の難易度は高いですが、将来性もあり年収の高い職業のため不動産鑑定士に興味のある方は合格を目指してみてはいかがでしょうか。

【初心者でもわかる】この記事のまとめ

「不動産鑑定士」に関してよくある質問を集めました。

不動産鑑定士の合格率は?

不動産鑑定士試験の合格率は、短答式試験は約30%、論文式試験は約15%となっています。令和2年は新型コロナウイルスの影響で受験者数が減少していますが、令和3年は例年通りとなっています。令和3年の短答式試験の受験者数は1,709名、論文式試験は809名となっています。詳しくは記事に記載しています。

不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は?

不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は、2,000時間~4,000時間です。短答式試験には約1,5000時間、論文式試験は約2,500時間の勉強時間を確保することが理想的です。詳しい対策方法は記事に記載しています。

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-StudySearch編集部-
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