【高校数学】複素数の定義・四則演算を解説!共役複素数も紹介!
本記事では複素数についてご紹介します。
性質だけではなく割り算や掛け算といった問題も交えてご紹介していきます。
併せて計算をする上で知っておきたい「共役複素数」についても見ていきましょう。
高校数学で習う複素数ですが、電気回路といった電気・電子工学でもよく使われるものであるため、そちらの方で分からない方も是非参考にしてみてください。
高校で習ったもののよくわからない、複素数が難しいという方はとても参考になるでしょう。
それでは実際に複素数についてご紹介します。
複素数とは?
高校 数学Ⅱ(数学B)で出てくる複素数。
複素数とは実数と虚数を足し算した形で表されています。
実数と虚数が使われていることから、マイナスの数やルートなども含むためややこしいと感じている方も多いのではないでしょうか?
確かに新しく習うものであるため、難しいと感じるのも無理ありません。
そんな難しく感じる複素数ですが、手順をしっかりと踏んで1つずつ理解すれば分かるものです。
ここでは複素数がどんなものなのかについて見ていきましょう。
2乗したら-1になる数
虚数というのは虚数単位というものから使われており、2乗するとマイナス1になるというものです。
今まで習ってきた数のルールは、「2乗してマイナスになることはない」というものであったため、理解できない方も多いでしょう。
しかし、虚数単位に関しては2乗すると−1になる数と定義がされています。
-
その数をつかって表されるのが「虚数」です。
虚数単位というのは英語で「imaginary unit」といい、imaginaryの頭文字をとって「i」と表されます。
例えばa+biがあったとしましょう。(aは実部、biは複素数)
さらに2+3iを置いてみます。
一見2よりも大きく見えるかもしれませんが、2よりも大きい、小さいという比較はできません。
iという文字が入ってきた時点で今まで習ってきた実数とは別の数になるのです。
複素数の公式
ここではiが入ってきたとき、どう計算するかを見てみましょう。
例えば2+3iに、Z1=1+2i、Z2=3+4iというのを用意してみます。
Z1とZ2の足し算は、先程の実数の部分と虚数の部分同士を比べます。
実数の部分同士は足し算をし、虚数の部分はiが付いている前の係数の部分同士を足し算しましょう。
つまり、以下の式のようになります。
- Z1=1+2i,Z2=3+4i
- Z1+Z2=1+3+(2+4)i
実部と虚部
先程使用したa+biを例にして実部と虚部を見てみましょう。
aは実部、bは虚部と名前がついているものの虚数ではありません。
虚数というのはiという文字が入っていて、今まで扱ったことのない数のことです。
そのためbは実数です。
-
bとiがセットで、初めて虚数となります。
したがってbのところにある数同士であれば、かけたり足したりが可能です。
難しく感じる方もいるかもしれませんが、コツは「今まで勉強してきた文字式と同様に扱う」ことです。
一旦文字と同様に扱い、最後に2乗のところで-1に変換すればできるはずです。
iが2乗になっているところがあれば、最後に-1に書き換えてあげれば式は自然と完成するでしょう。
純虚数
純虚数とは5iや-iなどで表した数のことです。
虚数単位であるiとの積が純虚数となります。
虚数と似ているものの、虚数は「純虚数」と「純虚数以外の虚数」も含むため別のものです。
例として「3+i」や「2+i」などは純虚数ではない虚数になります。
つまり複素数の中に虚数があり、虚数はさらに純虚数と純虚数ではない虚数に分けることができます。
また間違えやすいものである「4i、-i」は虚数ではなく無虚数です。
反対に3-2iは純虚数ではない虚数となります。
純虚数も無虚数もiを含む虚数であるため区別が難しいと思うかもしれませんが、しっかりと区別できるようになりましょう。
CHECK
- 複素数とは実数と虚数を足し算した形
- 実数と虚数が使われている
- 手順をしっかりと踏んで1つずつ理解すれば分かるもの
複素数の四則演算
ここでは複素数の四則演算について見ていきましょう。
複素数の四則演算と聞くと難しいイメージを抱く方が多いかもしれませんが、物理の世界やコンピューターの世界では非常に便利な数字です。
足し算や引き算、掛け算などの例題を2つずつご紹介します。
なお、ここでは虚数単位をiとして他の文字は実数とします。
足し算の計算方法
足し算の例題をご紹介します。
(a+bi)+(c+di)
先ほど紹介したようにiを文字として考えて計算します。
となると次のようになります。
(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i
2問目に数字を入れて計算してみましょう。
(3+i)+(-1+4i)=(3-1)+(1+4)i
答えは次のとおりです。
=2+5i
つまり実部と虚部のそれぞれを足して和を求めます。
一見難しいと感じるものもiを文字だと置き換えることにより、求めやすくなるのではないでしょうか?
足し算ができていれば基礎が出来ていますので、このまま手順を踏めば次に紹介する引き算もできるようになるはずです。
引き算の計算方法
引き算の例題をご紹介します。
(a+bi)-(c+di)
展開すると次の通りです。
(a+bi)-(c+di)=(a-c)+(b-d)i
2問目も足し算のように数字を入れて計算してみます。
(3+i)-(-1+4i)=(3+1)+(1-4)i
答えは次のとおりです。
=4-3i
これも足し算と同じように実部と虚部のそれぞれを引いて差を作ります。
足し算ができれば引き算も自然とできるはずです。
続いては今までのことを応用して掛け算の計算をしてみましょう。
掛け算の計算方法
掛け算の例題を2つご紹介します。
1つ目の問題がこちらです。
(a+bi)・(c+di)
すると次の通りです。
(a+bi)・(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i
2問目はこれに数字をいれて掛け算をしてみましょう。
iを文字に置き換えると分配法則を使用して次のように展開ができます。
(1+2i)(3+4i)
=1×3+1×4i+2i×3+2i×4i
=3+4i+6i+8i2
=3+10i+8×(-1)
=-5+10i
iが2乗になっているところに関しては、最後に-1に書き換えてあげれば計算終了です。
複素数は難しく感じるかもしれませんが、使うことでスムーズに計算することができます。
数字を入れて計算する方が難しい方は、まずはaやbといった文字に置き換えて計算するところから挑戦してみるのがおすすめです。
判別方式を利用する場合
2次方程式の解を考える際にも複素数は活用できます。
今までの方法で2次方程式の解を求める際は、因数分解をするか解の公式を使用するかと習ってきたでしょう。
例としてax2+bx+c=0という解の公式は次のとおりです。
x=-b±√b2-4ac/2a
中身のb2-4acというところが0よりも大きければ解は2個、0と等しければ解は1個、0より小さければ解は0となります。
- b2-4ac>0…2個
- b2-4ac=0…1個
- b2-4ac<0…0個
しかし判別虚数まで含めてよいのならば、√−1=iであるため解は存在します。
なぜなら虚数単位は2乗すると−1になる数だからです。
ルートの中身が−になったとしても、iを使っても良いならば解(虚数解)は出てくるはずです。
問題文の中で虚数解を含む、虚数まで考えても良いとなっているのであれば、ここまで答えを出すようにしましょう。
問題文の中身に記載がなければ解無しで問題ありません。
割り算の計算方法
割り算の例題を2つご紹介します。
ポイントとしては、分母に分母の共役な複素数を掛けて計算することです。
1つ目の問題がこちらです。
c+dia+bi
このとき分母の共役複素数を分母・分子に掛けて分母の実数化を行いましょう。
すると次のようになります。
c+dia+bi=(c+di)(a-bi)(ac+bd)+(ad-bc)ia2+b2
分母の変形で「共役複素数との積」の計算を使用しています。
複素数の世界では、0で割ることは考えません。
なお、公式として覚えるのではなく毎回、分母の実数化をして計算しましょう。
分母・分子に分母の共役複素数を掛けて計算することを頭に入れて、2問目も解いてみてください。
2問目がこちらです。
1+i1-i
まず複素数では分母は実数の形だけにします。
そのためにはi2をi(=-1)にしましょう。
そうすると
1+i1-i-i=(1+i)(1+i)(1-i)(1+)=(1+i)21-i2=1+2i+i22=2i2=i
となります。
他の複素数でも分母を実数だけの状態にして計算しましょう。
CHECK
- 物理の世界やコンピューターの世界では非常に便利な数字
- ここでは虚数単位をiとして他の文字は実数とする
- 理屈を理解することでより応用できる
共役な複素数
先程割り算で紹介した共役な複素数ですが、いまいち分かっていない方も多いと思います。
共役複素数とは複素数a=a+biに対して「a-bi」となる複素数のことです。
複素数平面に図示すると複素数と共役複素数は対象の関係になる関係の深いものです。
共役な複素数について分かっていない方は、理解することで複雑な複素数もより解きやすくなるはずです。
ここでは改めて共役の性質について詳しくご紹介します。
併せて重要な性質の証明をし、例題にも取り組んでみましょう。
「共役」とは?
共役複素数の共役とは、複素数a+biに対して「a-bi」のような複素数のことです。
共役複素数をさらに分かりやすくいうと、iの前の符号が異なるものを指します。
共役複素数を複素数平面に図示すると、複素数とは対象の関係になります。
なお複素数と共役複素数の掛け算は絶対値の2乗と同じです。
共役複素数は文字の上にバーをつけます。
複素数と共役複素数を表すと次のとおりです。
- 複素数 a=a+bi
- 共役複素数 6=a-bi
先にも紹介しましたが、共役な複素数は割り算で多く活用されます。
割り算で共役な複素数を使用することで、分母をiがない式にすることが可能です。
割り算がうまく出来ない方は、共役複素数をしっかりと抑えましょう。
証明
共役な複素数の性質を証明してみましょう。
まず共役な複素数の性質は次のとおりです。
- a+β=a+b
- a-β=a-b
- aβ=aβ
- (aβ)=aβ
- a=a
●a=a+bi、β=c+di
●a,b,c,dは実数
●aβは積の共役複素積
それぞれの証明をしていきます。
aβ= (a+bi)=(c+di)
=(ac+bd)=(ad+bc)i
=(ac-bd)-(ad+bc)i
また、右辺にあるaβは共役複素数の積です。
こちらも計算してみると次のとおりです。
aβ= (a+bi)=(c+di)
=(a-bi)(c+di)
=(ac-bd)-(ad+bc)i
2つとも同じ結果ということから、aβと aβは成り立ちます。
商の共役複素数の計算は次のとおりです。
・(aβ)=(a+bic+di)=((a+bi)(c-di)(c+di)(c-di))=((ac+bd)(-ad+bc)ic2+d2)=(ac+bd)+(ad-bc)ic2+d2
さらに共役複素数の商は次になります。
aβ=a+bic+di=a-bic-di=(a-bi)(c+di)(c-di)(c+di)=(ac+bd)+(ad-bc)ic2+d2
同じ結果ということから、性質を証明できました。
また2つの複素数が成り立つことから3つ以上の場合でも成り立つことが自然と分かるでしょう。
例題
ここでは例題を出しますので実際に解けるか行ってみてください。
例題①
1.z=a+bi(a,bは実数)として、aとbをそれぞれzとzで表してください。
以下回答です。
1.z=a+bi,z=a-biより足すもしくは引くを行うと
a=z+z2,b=z-z2i=z-z2i
例題②
2.a,b,c,dは実数です。
複素数aが方程式ax3+bx2+cx+d=0の解のときにaも同じ方程式の解であることを証明してください。
以下回答です。
2.方程式ax3+ba2+cx+d=0がx=aを解にもつため
ax3+ba2+cx+d=0⇔aa3+ba2+ca+d=0
ax3+ba2+cx+d=0⇔aa3+ba2+ca+d=0
ax3+ba2+cx+d=0⇔a(a)3+ba(a)2+ca+d=0
このことからx=aも解であることが分かるでしょう。
CHECK
- 共役複素数とは複素数a=a+biに対して「a-bi」となる複素数のこと
- 複素数平面に図示すると複素数と共役複素数は対象の関係になる関係の深いもの
- 理解することで複雑な複素数もより解きやすくなる
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対象 | 高校生 |
---|---|
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まとめ
この記事では複素数についてご紹介しました。
複素数は難しいとイメージを抱いている方も多いですが、実際はa=a(aの実部)+b(aの虚部)i(虚数単位)と実にシンプルなものです。
数字で考えていると頭の中で混乱してしまうという方も、まずは最初は文字に置き換えて考えてみるのがおすすめです。
英語で計算できるようになれば、文字を入れても自然と計算ができるでしょう。
この記事で習ったことをもとにして、複素数の問題をスムーズに解くことを目標にしてみてください。
【初心者でもわかる】この記事のまとめ
「複素数」に関してよくある質問を集めました。
複素数とは、どのような数ですか?
複素数とは1や3といった実数と、iや2iといった虚数を組み合わせたものです。-3+4iや、2-13iのような形で表すことができます。複素数は高校数学では役立つと実感できる機会が少ないものの、工学の世界では大変便利なものです。複素数は手順を踏んで理解していけば理解できますので、ぜひ諦めずに学習しましょう。複素数の詳細はこちらを参考にしてください。
共役複素数についても、定義と性質を教えてください
共役複素数とはa=a+biに対して「a-bi」のような形になる複素数のことです。また複素数平面に図示すると複素数と対称の関係になります。基本的な性質としては共役を2回とるともとに戻ります。他に共役と足し算の順番は交換が可能です。方程式の解では実数係数多項式=0の場合、zが解ならばzも解となります。共役複素数についてはこちらを参考にしてください。
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